母親の親権独占は“誘拐事件”だ 2010年02月06日人権 三井マリ子 ■母親にだけ親権を認めがちな日本の裁判所 日本の女性と米国の男性が結婚して、米国で出産し、一緒に住んだ後に破局を迎えるケースはよく起きる。すると、日本人の母親は子どもを日本に連れ去り、以後、米国人の父親はわが子に会うことができない。これでは困る、とキャンベル米国務次官補が米国民を代表して改善策を求めたのである。 ハーグ条約とは、「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」のことで、未批准国はG7では日本だけだ。条約では、国際離婚時に子供を連れ出したり面会を拒否したりするのは子供の奪取にあたる、とされる。だが、日本社会には批准を飲めない事情がある。 「ぼく稼ぐ人、わたし家事する人」といった性別役割分業の因習が根強い。男女が、平等に仕事に従事し、平等に家事育児に関わるための政策が整っていない。それが日本の裁判所の判