→紀伊國屋書店で購入 「デフレをどう捉えるか」 経済学はアダム・スミスの昔から優れて実践的な学問であったが、バブル崩壊後の日本経済が長いあいだ低迷し続けるうちに「デフレからの脱却」という課題が急浮上するようになった。だが、経済学者やエコノミストの見解が容易に一致しないように、デフレをどう捉えるかについてもいろいろな考え方がある。本書(『デフレーション』日本経済新聞出版社、2013年)の著者である吉川洋氏(東京大学大学院経済学研究科教授)は、わが国を代表するケインジアンとして知られているが、一読すれば、自説とは対立する理論や政策(現内閣の「アベノミクス」もそのひとつだが)との違いが明確となるような丁寧な叙述がなされているのに気づくだろう。啓蒙書の模範というべき好著である。 一昔前、インフレ抑制が重要な経済問題であった頃、アメリカの高名な経済学者ミルトン・フリードマンは、「インフレは貨幣的な現
現代経済学の概要を知るのに非常によい本である。経済学部の新入生用のオリエンテーションを念頭に置いているが、経済に関心を持つ社会人が読んでも有益だ。経済学の各分野の概説だけでなく、数学、外国語(具体的には英語と中国語)についてていねいな学習案内がついている。 筆者が、共感したのは、渡辺智之教授(元財務官僚)の執筆による「政策のプロフェッショナルにとっての経済学 大学で学んだ経済学を、実務の仕事でどう生かすか?」だ。 渡辺教授は、 <一般に、大学で勉強した学問が実際の仕事ですぐに直接役立つことは少ない。むしろ、「『すぐに役立つ勉強』などは、すぐに役立たなくなる。長い目で役に立つのは、基本的な考え方をしっかり身につける勉強である」といったことがよく言われるし、たぶん、それは正しい。しかし、大学で経済学の基礎的勉強をしっかりやっておくと、実務でも、実はけっこう、つぶしがきく>(294頁) と述べる
リフレ派の新しい本が出ました。大好評販売中です! リフレが日本経済を復活させる 作者: 岩田規久男,浜田宏一,原田泰出版社/メーカー: 中央経済社発売日: 2013/03/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (14件) を見る 岩田規久男・浜田宏一・原田泰編著 「リフレが日本経済を復活させる:経済を動かす貨幣の力」、中央経済社、ページ数:291ページ、価格:1800円、発売日:3月18日 目次 序(岩田規久男・浜田宏一・原田泰) 第1章 デフレの即効薬は金融政策(浜田宏一) 第2章 金融政策はストック市場からどのように波及するのか(安達誠司) 第3章 貨幣がなぜ実質変数を動かすのか(矢野浩一) 第4章 資産市場はどのように実体経済を動かすのか(平野智裕・青柳潤) 第5章 貨幣と金利との関係はどうなっているのか(原田泰) 第6章 財政政策は有効か(飯田泰之) 第7章 金融政策運営の望
安田 洋祐 @yagena 『利己的な遺伝子』で有名なリチャード・ドーキンスによる,子供から大人まで楽しめる大型サイズの新刊も発見.素朴な疑問から科学の考え方を分かりやすく解説していく科学読本で,思わず衝動買いしそうに^^ 『ドーキンス博士が教える「世界の秘密」』 http://t.co/9CUBOjvK 安田 洋祐 @yagena 『自然科学としての言語学』(福井直樹)が大幅に増補改訂され,ちくま学芸文庫から出版されているのを本日書店にて発見.気鋭の文法学者が,ゲーム理論的な切り口で言語について考察した一線級の論考集のようです.ぜひ時間を見つけて読んでみたいなぁ^^ http://t.co/pjInAuRx
過剰債務の火種を抱え込んだままの欧州、国際社会での指導力が弱まる米国、高成長に陰りが見え始めた新興国。そして国の財政難や人口減少などの構造問題を抱える日本。危機の根底を探り、解決に向けての議論を整理する「教科書」となり得る力作がベスト10に入った。
中国の地域経済: 空間構造と相互依存 作者: 岡本信広出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 2012/09/21メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 著者の岡本信広さんよりお贈りいただきました。ありがとうございます。 岡本さんは最近のブログやtwitterでの活動を見ればわかるように大変教育熱心かつ勉強熱心な方ですが、大学に移る前にはアジア経済研究所で産業連関表を用いた経済分析のスペシャリストとして鳴らした方でした。本書は彼のアジ研時代の研究成果、とくに労作である地域間産業連関表を用いた分析をベースに、中国経済の地域構造の変遷というより大きなテーマでまとめられたものです。 本書で印象的なのは、市場経済化が進展し、地域間の統合が進むにつれて、地域間の産業構造が「格差拡大的」な方向にどんどん変化してきた、そのダイナミズムが見事に可視化されていることです。すなわち、地域間のモノ・ヒト・
稲葉振一郎さん(id:shinichiroinaba)がDaron Acemoglu & James A. Robinson, のWhy Nations Fail について詳細な読書メモを書かれています。この本は大分前に読もうと思って購入していたたものの分厚すぎてそのままにしていたので、勉強になりました。 Why Nations Fail: The Origins of Power, Prosperity, and Poverty WHY NATIONS FAIL [ Daron Acemoglu ] ジャンル: 本・雑誌・コミック > 洋書 > SOCIAL SCIENCEショップ: 楽天ブックス価格: 4,665円 以下、http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20120901/p2より。 一時期のいわゆる開発独裁(1980年代頃の開発経済学でいわれ
Why Nations Fail: The Origins of Power, Prosperity, and Poverty 作者: Daron Acemoglu,James Robinson出版社/メーカー: Currency発売日: 2012/03/20メディア: ハードカバー購入: 13人 クリック: 175回この商品を含むブログ (12件) を見る とりあえず読み終わったので、現在書いているメモから抜粋。 ============ Daron Acemogluらの研究グループによる「成長の政治経済学Political Economy of Growth」の研究プロジェクトにおける一つの論点は、包括的inclusiveな政治制度≒民主政と、包括的な経済制度≒自由な(開放的で公平な)市場経済との相互依存(好循環)、それと裏腹の略奪的extactiveな政治制度――権威主義的独裁等――
行動経済学を勉強するための読書案内をこのブログで書いたことがある。その後、多くの本が出版されたので、新しいものを含めて紹介し直そう。抜けているものがあると思うので随時追加していく予定。 ・最初の一歩 マッテオ・モッテルリーニ著『経済は感情で動く―― はじめての行動経済学』 ダン・ アリエリー著『予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』 ダン・アリエリー著『不合理だからすべてがうまくいく』 ダン・アリエリー著『ずる』 筒井義郎・山根承子『図解雑学 行動経済学』 池田新介 「自滅する選択」 ・もう少し体系的に 川西諭『よくわかる行動経済学』 このブログでの紹介 依田高典著『行動経済学』 このブログでの紹介 友野 典男著『行動経済学 経済は「感情」で動いている』 (光文社新書) このブログでの紹介 リチャード・セイラー著 『セイラー教授の行動経済学入門』 ・応用力をつけ
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当ブログでも紹介したBoldrin-Levineの本が今月末に出る。といっても、中身はすべてウェブサイトで公開されているので、4000円は「製本代」ということか。 厳密な数学的証明は、International Economic Review(2003)に出た彼らの論文で行なわれている。それによれば、知的財産権と称するものは、本来の財産権とは異なる特定の業界に与えられた特権(privilege)であり、知的独占とよぶべきだ。これを全面的に廃止しても、財産権と市場メカニズムだけでイノベーションのインセンティブは守れる(むしろ競争によって高まる)。 彼らの論文は、賛否両論の反響を呼んだ。SolowやStallmanは賛成したが、KleinやRomerは「特殊な需要関数を想定していて非現実的だ」と批判した。ケンブリッジ大学出版局のレフェリーからも何度もNGを出され、5年がかりで出版にこぎつけ
原田泰さんの『日本国の原則』が、今年の第29回石橋湛山賞を受賞されました。おめでとうございます。原田さんの主張の集大成ともいえる著作でしたので、今回の受賞はまったく妥当であり、原田さんの経済学、言論への貢献を正当に評価したものだと思いました。 野口旭さんが素晴しい書評を本書に対して、『週刊東洋経済』で書かれていましたので、そこから引用したいと思います。 :本書によれば、日本が経済的繁栄を実現させたのは、政府の経済運営が賢明であったからではなく、人々の自由があったからである。近代日本の指導者たちもまた、自由こそが繁栄の源であることをよく理解していた。 その日本が道を誤ったのは、軍部の台頭によって、その自由が失われたからである。戦争とは本来、国民に大きな負担を強いる、利に合わない国家事業である。しかし、戦争は他方で、軍部の持つ利権を極大化させるように作用する。昭和の戦争とは、その軍部の利権追求
最近はmixiとメールでの情報に大きく依存している田中です。今日もあり難い情報を頂きました。 リチャード・クー氏の新刊『日本経済を襲う二つの波』(徳間書店)に、田中の『不謹慎な経済学』への反論があるとのご指摘。奇しくも本日、クー氏の本を購入したばかりでした。さっそくその該当部分だけを見つけて読んでみました。 で、クー氏の新刊全体を含めての反論兼書評は、またもや本(かあるいは太田出版のエコミシュサイトなど)でやりたいと思いますが、一点だけ、ここで言及したいのは、クー氏の次の発言に対してです。 「実際に彼(=田中のこと)の文章を読んでいて気になるのは、彼らが債務超過に陥った企業の経営がいかに難しいものになるかということをまったく理解していないように見える点である。最近の大学で教えている経済学に債務超過や倒産の話があまり出てこないからといって、現実にそのような事態が起きないということにはならない
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