東京電力福島第1原発の汚染水を浄化した処理水の海洋放出について、東電は25日、海底トンネルを整備して配管を通し、同原発の沖合約1キロの海中に排水する工程案を発表した。関係者によると、9月上旬にもトンネル敷設に向けた海底調査を始め、来年2月から工事に着手する。1年半ほどかけて完成させ、令和5年春の放出開始を目指す。東電が公式に放出計画の全体像を示したのは初めて。 海底トンネルは直径2・5メートル程度を想定しており、第1原発5、6号機付近から海底の岩盤をくりぬいて配管を通す。原発東側の直近の海中に排水する案も検討していたが、処理水に含まれる放射性物質のトリチウムをより拡散できる沖合を選択した。沖合約1キロの水域は漁業権が設定されておらず、風評被害を懸念する漁業関係者の反発も少ないと判断したとみられる。 希釈に使う海水は同原発の港湾外からくみ上げる。トリチウムを含む処理水は通常運転の原発でも発生