「いまだに、いなくなった気がしません。亡くなったとか、あまりそういう考えがないんです。ふと仕事場を見ると、安西がいつものように仕事をしているみたいで」 安西水丸の青山のアトリエを訪ねると、事務所スタッフの方が案内しながらこう呟いた。まるで、さっきまで作業をしていて、近所に散歩に出かけたかのようだ。安西は青山と鎌倉にふたつのアトリエを持つ。青山のアトリエは主にイラストレーションの仕事用、そして鎌倉のアトリエは執筆用として、使い分けていたらしい。 青山のアトリエ。机周りは生前のまま。ただ席を外しているだけで、本人が帰ってきそうな佇まいだ。亡くなって、今年で10年の月日が流れたが、どちらのアトリエも当時のままだ。あふれんばかりのモノに囲まれた机にはまっさらな紙がセットされ、新しい作業がいつ始まってもおかしくない気配がある。スノードーム、〈ブルーウィロー〉のテーブルウェア、民藝やキャラクターの人形
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