最終回のこの機会に、連載のタイトルにも触れておこう。もともと担当編集者が僕の番組「文化系トークラジオLife」のリスナーだった縁で始まった企画ということで、その一部をタイトルに借用した。「文化系トーク」には多くの意味が込められているのだが、「文化系サラリーマン」はというと、たとえば本を読みすぎてしまった社会人、とりわけ文学や哲学、思想や社会科学などの人文書のたぐいを読みすぎてしまった人、といったイメージだ。 本を読むことは基本的によいこととされている。ビジネス誌でもしばしば「読書特集」が組まれ、ビジネスパーソン向けの教養書も売れているようだ。しかし読みすぎには副作用もある。難解な本を読破しただけで偉くなったような気になるし、頭でっかちになって一般社会からズレてしまうこともある。そもそも実用性に乏しく、仕事の役にも立ちそうにない。政府の大学改革論議では「人文社会科学系は、組織の廃止や社会的要