はじめに ジョン・ケージ(John Cage 1912-1992)のピアノ曲として、最初に思いつくのはどんな作品でしょうか?一般的にはプリペアドピアノのための作品が比較的有名ではないかと推測します。2台のプリペアドピアノのための「3つのダンス」(1944-5)や「ソナタとインターリュード」(1946-8)などの傑作が存在します。 今回は敢えてプリペアド作品を避け、偶然性を取り入れた作曲技法に開眼した1950年台以降のノンプリペアドピアノのソロ作品に絞って、いくつかの作品をご紹介します。プリペアドされていないという意味で普通のピアノ曲とタイトルを付けましたが、一般的な意味で普通なのかどうかは、読者の方のご判断にお任せしたいと思います。では、ケージ中期から晩年までの旅路をお楽しみください。 易の音楽 沈黙、作曲法の提示 エチュード・オーストラルズ Etude Australes:南天のエチュー