連続テレビ小説『ブギウギ』(NHK)で年明け早々、とても印象的なエピソードがあった。1月5日に放送された「戦争とうた」の第66話で、茨田りつ子(菊地凛子)が鹿児島の特攻隊基地で乞われるままに「別れのブルース」をせつせつと歌って涙し、福来スズ子(趣里)が富山の人々の前で「大空の弟」を歌い上げたのだ。 ご承知のとおり、福来スズ子は“ブギの女王”笠置シヅ子、茨田りつ子のモデルは“ブルースの女王”淡谷のり子をモデルにしている。第1話のアバンタイトルに登場した二人が、全体のちょうど折り返し点にあたるこの回でクローズアップされたのは象徴的だ。 笠置にとって淡谷は歌手としての先輩であり、戦前、戦中、戦後をともに駆け抜けたライバルであり、仲間でもあった。笠置にとって最大の音楽の師・服部良一の曲を歌っていること、お互いシングルマザーという共通点もある。