このところの経済状況には、ある種の既視感(デジャブ)が伴うところがあり、今日の日経「経済教室」欄で日本経済研究センターの竹内淳一郎・主任研究員が「デジャブ景気」と命名できるのではないかと書いていたほどである。デフレ脱却の方策をめぐる議論についても、「一度論じられた(決着のついた)問題を蒸し返している」といったものばかりで、2000年代前半時の繰り返しの感が強い。理論的・実証的に何か新しい示唆があるわけではない。 同じような議論が繰り返されるのは、不勉強で無理解とか、固定観念(バカの壁)に囚われてしまっているなどが理由として考えられるが、背景には、現下の閉塞した状況に対する鬱積した思い(私は、それを「一挙的解決願望」と呼んでいる)のようなものが基本的にあるのだろう。その意味では、現下のいわゆるリフレ論というのは、経済学的な議論の対象というよりも、むしろ特定の社会現象として社会(心理)学的な考