有事の際の安全地帯と長らく見なされていた米ドルだが、ここにきて避難所としての魅力を失いつつあるのかもしれない。 中東の大混乱を受けた原油価格の高騰、株価の下落、そして市場のボラティリティーの高まりを目の当たりにした投資家は不安感を強めている。リスク回避の動きが強まる時には、資金がドルに逃避する光景が見られるのが普通だ。 ところが今回は、伝統的な避難先であるスイスフランと日本円が上昇する一方で、ドルは安くなっている。 「ドルの避難所としての地位が失われてしまったようだ」。スタンダード銀行のスティーブ・バロー氏はこう語る。「我々のようにドルに対して長期的に弱気な者から見ても、これは心配になる状況だ」 弱気筋さえもが心配するドル安 ドルがアンダーパフォームしている最大の理由は、原油価格上昇の影響に対する懸念だ、とアナリストたちは指摘する。 ドルは対スイスフランで史上最安値をつけ、対日本円ではここ