フランスにおける書籍デジタル化の動向 調査及び立法考査局海外立法情報課:服部有希(はっとり ゆうき) フランスは、文化・通信省の主導の下、フランス国立図書館(BnF)が中心となり、書籍等のデジタル化を推進している。その対象は、パブリック・ドメインの資料から始まり、著作権保護期間内にある著作物へと拡大しつつある。 本稿では、フランスにおける書籍等のデジタル化の進展を概観した上で、最新の動向である絶版書籍及び孤児著作物のデジタル化について紹介する。 書籍等のデジタル化の進展 BnFが書籍等のデジタル化を本格化させたのは、1997年の電子図書館Gallicaの公開からである。そのコンテンツ数は、現在、約290万点に達している(1)。 Gallicaの当初の構想は、主要作家の作品等を厳選した百科全書的なカタログの構築であった。しかし、2005年頃になると、方針が変更され、網羅的なデータベースの実