古音源の保存と活用に関する国際シンポジウム<報告> 明治期に録音された雅楽より,現在演奏されている雅楽はテンポが緩やかなものであるという。当時の録音メディアの収録時間の限界が一因であるとしても,どうやら明治期には,今よりも速いテンポで雅楽が演奏されていたらしい。 そんな仮説を神戸大学の寺内直子教授は示し,古音源という「音」の文化資源に着目し研究することの興味深さを語った。2015年3月20日に神戸大学国際文化学研究科で開催された「私たちは何を録音してきたのか~古音源の保存と活用~」のイントロダクションにおいてである。 寺内氏は,古音源について,録音技術の歴史,録音物の使用目的,コレクションの来歴,保存,公開の手段といった切り口を挙げたが,近年急速にデジタル化が進む中で,特に公開の手段に変化が見られるという。その一例として,日本およびフランスから報告が行われた。 国立国会図書館(NDL)から