■20年で実現可能な「夢」 科学者や技術者が「50年後に実用化できます」というとき、私は眉(まゆ)に唾(つば)をつけることにしている。半世紀後、仮にその技術が実用化できなくても、誰も責任をとらないからだ。だが、「20年で実用化できます」というときは(きちんと吟味したうえで)信じることができる。 最近、読書をしていて、久々に20年で実現可能な夢のプロジェクトに出合った。『宇宙旅行はエレベーターで』(ランダムハウス講談社)という本に出ていた「宇宙エレベーター」だ。地上から高度10万キロまでケーブルを伸ばし、このケーブルを利用して宇宙までエレベーターで行こう、というのである。もともとはロシアの科学者が思い付いたようだが、先日亡くなったSF作家のアーサー・C・クラークの『楽園の泉』(ハヤカワ文庫)で世界的に有名になった。 なんだSFの話か、と言うなかれ。すでにアメリカのNASAは、この壮大なプロジ