【北京=矢板明夫】インドのモディ首相は15日、北京の人民大会堂で中国の李克強首相と会談し、貿易、鉄道、宇宙開発など24項目の事業協力で合意した。総額は約100億ドル(約1兆2千億円)にのぼる。中印が対立するカシミール地域などの国境問題について、両首相は「大局に影響を与えてはいけない」との考えで一致し、領土問題を棚上げして、経済協力を優先させる姿勢を示した。 中国メディアなどによると、李首相は会談で、中国が推進するシルクロード経済圏構想やアジアインフラ投資銀行(AIIB)などをめぐりインド側との連携強化を要請する一方、中国企業によるインドへの投資促進を約束した。同時に、モディ政権が推進する高速鉄道建設について積極的な協力姿勢を示した。 会談後の共同記者会見で李首相は、懸案の巨額になっているインド対中貿易赤字について「中国側はバランスの取れた貿易に努力する。発展に向けた前進を期待する」と語り、
日本初の月面着陸機をめぐる連載企画「月に挑む」に多くの反響をいただいている。米アポロ宇宙船の着陸から半世紀近くたった今、なぜ日本が月面を目指すのか。誰もが抱く疑問だろう。 技術的に可能だからとか、夢があるからというだけでは説得力に欠ける。ただ、先を越されたからやらなくていい、とは思わない。欧米で生まれた自動車やコンピューターを日本が手掛けていなかったら、今日の繁栄はなかった。大事なのは日本の将来にとって、本当に必要かどうかだろう。 世界の月や火星探査の献立表には、米露や中国の豪華なメニューがずらりと並ぶ。その中にあって、小粒でもピリリと辛い存在感を示すのが日本の目標だ。月面に降りることの意味は何か、その先にどんな展望を描くのか。構想の行方を追っていく。(科学部次長 長内洋介)
3年後の打ち上げ計画が明らかになった日本初の月面着陸機「SLIM」(スリム)。実現を目指す宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、どのような構想を描いているのか。計画の目的や評価を関係者に聞いた。(草下健夫、長内洋介) ◇ JAXA宇宙科学研究所副所長・稲谷芳文氏 ■着陸技術、日本に不可欠 --なぜ今、スリムで月面着陸を目指すのか 「月など一定の重力がある天体への着陸技術は宇宙科学にとって不可欠で、日本はまだ獲得していない。月周回機『かぐや』の後継機で着陸を目指してきたが、構想は成案に至っていない。小さな機体でも早く実証したいとの考えから、複数の提案の中からスリムを選んだ。実現すれば、かぐや後継機などに道を開き、宇宙分野における日本の国際的な発言力の向上にもつながる」 --日本は小惑星探査機「はやぶさ」で高い技術力を既に示した 「小惑星の物質を持ち帰る点では日本が一番だが、それだけではいけない
米航空宇宙局(NASA)などが、次世代の航空機主翼のテストに成功した。最先端の軽量素材を使ったこの主翼には、継ぎ目のあるフラップが存在せず、飛行中に全体が変形する。燃費向上や騒音削減等に役立つ可能性があるという。 特殊な主翼を付けた実験機(ベースは、小型ビジネスジェット機「ガルフストリーム3」)。 米航空宇宙局(NASA)は、次世代の「変形する」航空機用主翼のテストに成功したと発表した。多額の燃料費を節約できるほか、航空機による騒音や、飛行時の環境への影響も大幅に減らせる可能性があるという技術だ。 この主翼には継ぎ目のあるフラップが存在せず、飛行中に全体的に形状を変えることができる(以下の動画)。主翼に使用されている高度な軽量素材により、翼構造を軽量化できるだけでなく、燃費を最適化するべく角度調整することもできる(燃費が5~12%向上し、離着陸時の騒音を最大40%削減できると報道されている
日本初の月面着陸機を3年後の2018(平成30)年度に打ち上げる計画が明らかになった。 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、政府の宇宙政策委員会の小委員会などに、無人の月面探査機「SLIM(スリム)」計画を説明した。 小型ロケット「イプシロン」で、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられるスリムは、狙った場所に正確に降り立つピンポイント着陸の技術実証を目指すという。従来の探査機では1~数キロの着陸地点の誤差を、100メートル程度まで縮める計画だ。日本の宇宙技術の高さを世界に示してもらいたい。 無人機による月面着陸は1966(昭和41)年に旧ソ連と米国が成功し、2013年に中国も加わった。日本も探査機「はやぶさ」で小惑星への着陸(05年)と地球への帰還(10年)を成功させた実績を誇る。 月面着陸に成功するだけでは、それほどの新鮮味はない。だが、スリムが挑む着陸技術の高精度化は、今後の宇
【モスクワ=黒川信雄】ロシアが宇宙開発計画の要と位置付ける新たな基地建設をめぐり、参画企業の不祥事が相次いでいることから、実現の大幅な遅れが懸念されている。新基地は極東振興の目玉とされているが、同国に根深くはびこる汚職問題が暗い影を落としている。 新基地は極東アムール州で建設中の「ボストーチヌイ宇宙基地」。同基地からはソ連崩壊後、初の純国産ロケット「アンガラ」の年内打ち上げが計画されている。また、同基地の完成によってロシアが租借するカザフスタンの「バイコヌール基地」への依存を大幅に減らすことも可能になるなど、宇宙大国の座を維持したいロシアの「最重要の建設計画の一つ」(プーチン大統領)とされる。 しかし建設を受託した企業が事前に約20億ルーブル(約48億円)を支払われたにもかかわらず破産。資金は横領されたとみられ、給与が未払いとなった従業員が住居の屋根に「助けてくれ」などとプーチン大統領にメ
月探査機スリムが挑むピンポイントの着陸は宇宙大国の米露も獲得していない独自の先進技術だ。JAXAが大学などと共同研究してきたもので、今後の月や火星の探査を支える柱として期待される。 スリムの着陸候補地は探査機かぐやが発見した縦穴付近。斜面に挟まれ、着陸が困難だった場所だ。月ではかぐやの観測で詳しい地形が明らかになったことで、探査したい場所に狙いを定めて着陸を目指す機運が高まっている。これに応えるため、スリムは地形を即座に判断して機体の位置を推定したり、未知の障害物を上空から迅速に検知したりする新技術を実証する。 米国はJAXAが検討しているかぐやの後継機に、自国の資源探査車を搭載するよう提案している。かぐや後継機はスリムの着陸技術を使う見込みで、月の資源をめぐる国際的な議論で日本が発言力を強めることにもなりそうだ。 月探査は火星への足掛かりとしても重視されている。スリムの究極の目標は、米国
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が日本初の月面着陸機を平成30年度に打ち上げる方針を固めたことが18日、分かった。政府の宇宙政策委員会が夏までに正式決定する見通しで、旧ソ連、米国、中国に続く無人の月面探査機での軟着陸に挑む。目標地点に高い精度で降り立ち、将来の資源探査に役立つ技術の確立を目指す。 関係者によると、20日に開かれる宇宙政策委の小委員会と文部科学省の有識者会合で、JAXAが月面探査機「SLIM」(スリム)の計画を説明する。 小型ロケット「イプシロン」5号機で内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)から打ち上げる。開発費は打ち上げ費用を含め100億~150億円程度の見通し。宇宙政策委の了承を経て文科省が来年度予算の概算要求に関連費用を盛り込む。 各国の月・惑星探査機の着陸地点は、目標に対し1~数キロの誤差があった。これに対しスリムは、デジタルカメラの顔認識技術を応用してクレーターの位置を
清酒「黄桜」のCMキャラクターや「仙人部落」で知られる漫画家の小島功(こじま・こお、本名=こじま・いさお)氏が14日、脳出血のため死去した。87歳。葬儀・告別式は28日午後1時半、東京都港区芝公園4の7の35、増上寺で。喪主は長男、匠(たくみ)氏。 昭和3年、東京生まれ。早くから漫画家を志し、川端画学校、太平洋美術学校などに学んで雑誌に投稿。次第にエロチックナンセンスの世界を展開していった。 22年に独立漫画派を結成。31年から雑誌「週刊アサヒ芸能」で「仙人部落」を開始、流麗な筆致で描いたしなやかな美女のイラストで人気を博した。49年には清酒「黄桜」のキャラクター、カッパのイラストで一世を風靡(ふうび)。生涯あでやかな美人画を描き続け、「現代の浮世絵師」と呼ばれた。 昭和43年、歴史に取材した「日本のかあちゃん」などで文芸春秋漫画賞を受賞。平成2年に紫綬褒章、12年に勲四等旭日小綬章。後進
JR東海は16日、山梨県の山梨リニア実験線(総延長42.8キロ)で高速走行試験を行い、時速590キロを記録したと発表した。平成15年12月に記録した鉄道としての世界最高速度(時速581キロ)を11年ぶりに更新した。JR東海は来週にも再び高速走行試験を行い、21日に時速600キロを達成する予定。ギネスブックに認定された世界記録も塗り替えられる。 今回の試験は、リニアの高速域での空力特性などのデータを集めて、安全性や乗り心地などを向上する目的で実施。この日午前に行われた試験では、社員29人が乗った車両が11時53分に590キロを達成し、最高速を約19秒間維持した。 同社はリニアの耐久性などを確かめる長距離走行試験も実施。今月14日に1日の走行距離4064キロを記録し、11年ぶりに従来の記録(2876キロ)を更新した。
【ワシントン=青木伸行】ウォーマス米国防次官は15日、下院軍事委員会の公聴会で証言し、今月下旬に再改定が予定される日米防衛協力の指針(ガイドライン)に、海洋での活動を衛星などで監視する「海上領域認識(MDA)」の分野における協力を明記すると明らかにした。 MDAは、情報収集衛星と通信衛星を使って他国の艦船や不審な船舶などの動向に関する情報を収集し、米軍と自衛隊が連携して監視する。東シナ海や南シナ海での中国の海軍艦船、公船の活動について、日米で効果的に対処することを目的としているとみられる。 昨年10月に発表された、指針の再改定へ向けた中間報告では「(日米は)平時から緊急事態までのいかなる段階においても、切れ目のない形で日本の安全が損なわれることを防ぐための措置をとる」としている。 MDAは、その具体的方策の柱の一つとして、「情報収集・警戒監視・偵察(ISR)」「ミサイル防衛(MD)」の協力
米航空宇宙局(NASA)は2020年代に目指す小惑星の有人探査について、無人探査機で岩石を採取して月の近くに運び、飛行士が調査する新たな計画を発表した。 無人探査機は20年に地球を出発。小惑星表面にある数メートルの岩石をロボットアームで採取した後、月の近くに移動する。この場所に20年代半ばに飛行士2人が宇宙船「オリオン」で到着し、岩石を調べて破片を回収する。太陽系形成史の解明や、小惑星の資源を将来、採掘するための情報が得られると期待される。 30年代の実現を目指す有人火星飛行の技術を獲得するため、オリオンと探査機の結合や、新型の宇宙服を使った船外活動なども計画している。 NASAはこれまで、無人探査機で直径7~10メートルの小惑星を丸ごと捕捉し、月の近くまで運ぶとしていたが、岩石だけを運ぶ方法に変更した。目標となる小惑星として、日本の探査機はやぶさが探査した「イトカワ」を含む複数の候補を挙
■地上で5年後に実用化か 宇宙空間で太陽光から作り出した電力を電波で地球に送り届ける「宇宙太陽光発電」の地上実験に、三菱重工業などが相次いで成功した。実用化の目標時期は遠い先だが、この技術を地上で応用する「無線送電」は5年程度で実現しそうだ。(伊藤壽一郎) ◇ ◆10倍の高効率 宇宙太陽光発電は、地球で太陽に最も近い赤道の上空約3万6千キロの静止軌道に、約2・5キロメートル四方の巨大な太陽電池パネルを備えた発電衛星を設置し、原発1基分に相当する100万キロワットを発電する壮大な構想だ。 生み出した電力は、電子レンジなどにも使われている波長がごく短いマイクロ波という電波に変換し、無線で地上に送信。地上で電力に再変換して利用する。経済産業省が中心になって研究開発を進めており、2040年代の実用化を見込んでいる。 わざわざ宇宙空間で発電する理由について、宇宙システム開発利用推進機構の中村修治担当
首相も花粉症…。参院予算委員会で維新の党の小野次郎幹事長代理の質問を聞きながら目をこする安倍晋三首相=27日午後、国会・参院第1委員会室(酒巻俊介撮影) 安倍晋三首相は27日の参院予算委員会で、自らも花粉症に悩まされていることを告白した上で「来年度から発生源のスギの伐採と同時に、花粉の少ない苗木への植え替えを支援する。花粉の少ない森林への転換を進めていきたい」と述べ、花粉症撲滅に向け対策を進める考えを示した。 維新の党の小野次郎氏は「今週は(花粉症の症状が)特にひどい。スギ花粉症は日本にしかなく、人災であり公害の一種だ」と指摘し、政府の取り組みをただした。 首相は、国民の約3割がかかっているとして「社会的、経済的にも大きな影響を与えている。政府を挙げて対応すべき大きな課題だ」と強調。同時に「スギ花粉の話をしているだけで、何となく目がかゆくなってくる」と症状を訴え、場内の笑いを誘った。
政府が1月に改訂した2024年度までの宇宙政策指針「宇宙基本計画」に、引き続きあの夢のプロジェクトが明記された。SF映画やアニメなどにも度々登場する「宇宙太陽光発電システム(SSPS)」の設置計画だ。莫大(ばくだい)な設置コストから採算がとれないなどと一部の専門家から「ばかげた計画」と揶揄(やゆ)されるが、政府は2030年代の実現に向け研究開発を推進する姿勢を崩さない。その実現可能性とは? 米国は財政難でプロジェクト中止宇宙空間に浮かべた太陽光パネルで発電し、それをマイクロ波と呼ぶ電気に変えて地球に送電する-。これがSSPSの基本的な仕組みだ。天候や昼夜を選ばず宇宙では24時間直射日光を浴び発電できることから発電量は最大で地上の10倍となる。さらに二酸化炭素(CO2)を排出しないため温暖化対策にも役立つと期待される、まさに夢の計画だ。 その研究は1968年に米国のピーター・グレーザー博士の
政府の情報収集衛星・光学5号機を搭載したH2Aロケット28号機が26日午前10時21分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。衛星は予定の軌道に投入され、打ち上げは成功した。高精細の撮影が可能な新機種で、正常に機能すれば北朝鮮の軍事施設などの監視能力が大きく向上する。 光学5号機は設計上の寿命を迎えた3号機の後継機。識別可能な物体の大きさは約30センチとみられ、約1メートルの1号機と比べ解像度は3倍、約60センチとされる3号機の倍に高性能化した。 一般に約30センチの解像度は地上の車の種類が判別できるレベルとされ、安全保障への貢献が期待される。開発費は324億円、打ち上げ費用は106億円。 情報収集衛星は現在、日中の晴天時に撮影する光学衛星と、夜間や曇りでも撮影可能なレーダー衛星の各2基が稼働中で、地上のどこでも1日1回撮影できる本格運用が行われている。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く