宇宙へ向けて打ち上げられたロケットが、垂直に降りてきて、着陸する-そんなSFのような光景が、2015年1月10日の大西洋上で繰り広げられた。この日、米フロリダ州から打ち上げられた「ファルコン9」ロケットの第1段機体が、高度約80kmの上空からロケットエンジンや安定翼を使って機体を制御しつつ下降し、大西洋に浮かべられたプラットフォームの上に着地しようとしたのである。 残念ながら、着地そのものはうまくいかず、プラットフォームの上でロケットは破壊されてしまったが、プラットフォームに辿り着くことまではでき、ロケットの再使用化と、それによるロケットの打ち上げコストの削減という夢物語の実現に向けた、大きな一歩となった。 ファルコン9ロケット ファルコン9を開発したのは、米国カリフォーニア州に本拠地を置くスペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ社(略してスペースX社)という会社だ。設立は2002年