青山未花子さん(24)は、昨春まで4年間、新聞配達を続けた。 夜明け前の東京の街を、原付きバイクで300軒以上まわる。朝刊を配り終えたら大学へ。授業を受け、午後は夕刊を配達した。 「天気が崩れないといいな」。午前2時、朝刊にチラシを折り込みながら、いつも空が気になった。 雨の日。配達が遅れると、郵便受けに差したばかりの新聞が、扉の向こうにすっと抜かれた。「待たせてしまったんだろうなあ」。販売店に戻ると、「ぬれていた」「破れていた」と苦情が届くこともあった。 「配達員は意識されてはいけない」。いつしか、そう心がけるようになった。音を立てないよう、そっと郵便受けに入れた。 卒業が近づいた昨年2月。月…