多田さんを含め、自動車開発におけるコストの厳しさについての話をたびたび耳にします。一方で、ユーザー目線で見た場合、「価格設定がアバウトなのではないか?」と感じられる製品もあります(特に高級車)。クルマの値づけは、どういうプロセスで決まるのでしょうか? 多くの工業製品は、材料・部品代などのコストを積み上げて、そこにある一定の利益を上乗せして市場価格を決めますよね。 ところがトヨタの場合は、「こういう機能を持ったこのようなクルマは、いくらなら市場で販売できるのか?」というマーケットリサーチを徹底的に行い、想定価格を決めてから「この値段でこのクルマをつくるにはどうしたらいいのか」を考えるという“逆のアプローチ”で製品開発にあたります。 それがこの会社の成功の秘訣(ひけつ)ではありますが、各モデルの開発担当者は、おカネの話が夢に出てくるようになるほど苦労を強いられます(苦笑)。 もっとも、こうした