日本神経学会(東京)が、水俣病を巡る国家賠償訴訟で被告の立場にある環境省の意見照会を受け、異例の「見解」をまとめていたことが分かった。水銀の摂取が終わってから発症するまでの期間など、訴訟で争点となっている3項目について、いずれも国側の主張を追認する内容。学会内で異論があるにもかかわらず、一部の研究者だけで見解を一方的にまとめた可能性があるとして、会員や原告側から批判が出ている。 「密室で議論」「一方的で非科学的」会員ら批判 見解はA4判4枚。昨年5月、「メチル水銀中毒症に係る神経学的知見に関する意見照会に対する回答」として、環境省特殊疾病対策室長宛てに出された。 この中で学会は、神経系疾患である水俣病について(1)診断は神経内科専門医による神経学的診察が必要(2)中枢神経の器質的病変による症候は(短期的に)変動することはない(3)メチル水銀中毒症におけるばく露停止から発症までの潜伏期間は「