元記録管理学会会長に聞く 陸上自衛隊の南スーダン派遣の日報問題、森友・加計学園における文書の扱い方・・・・・・。今年に入り、文書を巡る問題が相次いで起こった。なぜ、このような事態になったのだろうか。元記録管理学会会長でレコードマネジャーの小谷允志氏(80)に分析してもらった。 ――今の日本における問題は何が原因だと思いますか。 その前に、まず「記録」の意味を押さえておきたい。日本ではあまり「記録」が重視されず、そもそも文書と記録の区別も明確ではない。欧米では一般的な文書(document)と記録(records)は明確に区別されており、記録は重要なもの、侵すべからざるものと認識されている。従って記録管理の国際標準では「法的な義務の履行または業務において証拠及び情報資産として作成、保持される情報」と定義される。日本で文書が粗末に扱われる背景には、このような記録の概念がないことが考えられる。
