6月13日、中国に名をとどろかす紅色企業(革命に参加した主要ファミリーが経営や資本に関わっている企業)・安邦保険集団のトップにして、鄧小平の(元)女婿である呉小暉が失脚したことが明らかになった。9日に民生銀行から融資を受けた1000億元を横領した疑いで、身柄を拘束された、らしい。これに伴い安邦株は大暴落だ。 6月22日には、飛ぶ鳥を落とす勢いであった政商・王健林が率いる大連万達集団の株価も暴落。これに伴い王健林失脚の噂が流れた。22日午後には、中国のバフェット級投資家でもある郭広昌率いる復星集団の株価が暴落。「星野リゾートトマム」買収で日本でも知られるようになった郭広昌は2015年12月に失踪(上海市公安当局に贈賄容疑で身柄拘束されていたらしい)したが、無事復帰していたところだった。 中国経済の雄・万達、復星の株価暴落は、あまりに突然であり、22日は“魔の木曜日”と呼ばれた。その前に、米国
中国がパナマと国交を樹立した。すなわち台湾とパナマが断交したことになる。これは単に、台湾の国際生存空間が中国によって狭められた、という以上の意味があるのではないか、と思う。そのあたりをいろいろ推察してみたい。 パナマへの照準は毛沢東時代から パナマは6月12日夜に中国との国交樹立を発表。「一つの中国」政策を支持し、台湾が中国の一部であるとして、これを受けて台湾と断交することになった。2016年12月には西アフリカの島国サントメ・プリンシペが中国との国交樹立とともに台湾と断交したのに続いて、台湾に蔡英文政権ができてから、台湾と正式国交を結ぶ国は二つ減った。残るはバチカン市国を含めてわずか20カ国。昨年は、中国がブルキナファソに多額の経済支援と引き換えに台湾断交を持ちかけていたことが、ブルキナファソの外務担当相に暴露されるなどしていたが、台湾と正式国交を持っていた国の中では、最も影響力の強かっ
中国の秋の党大会を前に、中国国内がざわざわし始めている。まず、北京市や広東省の中枢および各省の政法委書記更迭などに代表される習近平人事の動き。そして軍内部に絶えない習近平暗殺およびクーデターの噂。社会で頻発する集団抗議の動き。以前にこのコラムでも紹介したことがある、米国に逃亡した“闇の政商”郭文貴の投じた“王岐山スキャンダル”の余波。権力闘争の行方は夏の北戴河会議(河北省の避暑地で行われる非公式会議)が終わるまで、何とも言えないが、何が注目点であるか、少し早めに大まかに整理しておこうと思う。 指導部人事の変数は三つ ニューヨークタイムズ華字版が先日、「第十九回党大会が直面する四大挑戦」と題する興味深い記事を掲載していた。筆者は中国共産党中央党校機関紙「学習時報」の元副編集・審査員で、今はフリーランス学者の鄧聿文。少し紹介したい。 「今年秋の党大会(十九大)は、権力闘争(人事)、イデオロギー
3月5日に全人代が開幕。政府活動報告から、錯綜する思惑や駆け引きが浮かび上がる(写真:ロイター/アフロ) 中国中央テレビ(CCTV)で放送中の歴史ドラマ「大秦帝国之崛起」が結構、人気なのだが、先日、両会(全国人民代表大会=全人代と中国人民政治協商会議=政協、中国の国会に相当)開幕直前に放送された第30回が、ちょっと話題になっている。秦国人が、趙国の“スパイ”を金で雇おうと、内奸(裏切者)のリストが書かれた竹製の書簡(小道具)を開くシーン(1分37秒あたり)で、なんと一番目立つところに習近平に似た名前が篆刻書体で書かれていた、という噂が広がった。 すわ、これはCCTVが発する“倒習信”(習近平打倒のメッセージ)か、と騒ぎになりかけたが、ネットユーザーのコラージュだという否定意見が流れたあと、中国のネットではこの噂は封じ込められた。昨年の両会のときは、新疆ウイグル自治区主管のネットメディア「無
北朝鮮の流浪の王子、金正男は、日本人の愛人をもち、偽造旅券で東京ディズニーランドを楽しみ、赤坂のコリアンクラブの上客でもあったという、その日本びいきぶりと、記者とメールでやり取りにも応じる気さくさと、愛嬌のある容貌と、意外に開明的で視野の広い知性も備えていて、日本のネットユーザーの間で「俺たちのマサオ!」と結構人気があった。その金正男がマレーシアで、謀略小説さながらの方法で白昼、空港で暗殺された。いや、殺されたのは影武者で、偽装暗殺だった、俺たちの正男は生きている!という人もいる。とりあえず本当に暗殺されたとして、このことは中朝関係になにか影響があるのだろうか。 11人が関与、3か月前から準備か まず、事件の概要について、少し整理しておこう。 北朝鮮の最高指導者、金正恩の異母兄である金正男はクアラルンプール第二国際空港の自動チェックインカウンターで、2月13日午前9時、暗殺された。マレーシ
お正月限定企画として、日経ビジネスの人気連載陣に、専門分野について2017年の吉凶を占ってもらいました。 今年はどんな年になるでしょう。 (お正月企画の記事一覧はこちらから) 2017年、中国では習近平政権が二期目に突入する第19回党大会が秋に予定されている。米国はトランプ政権が誕生、ともに軍拡路線をほのめかしており、米中新冷戦構造ともいうべき緊張関係が高まりそうだ。外交的にも地政学的にもその米中のはざまにある日本は、ではどうなるだろうか。日中関係について、目下、どのような予想があるかを見てみたい。 日米との対立をテコに国内団結を目論む中国 2016年12月23日に山東大学で開かれた報告会では、中国社会科学院日本研究所の党委書記で所長の高洪が「目下の中日関係の主要な問題と展望」というタイトルで報告を行った。それによると、日中関係には三つの大きな問題をめぐる曲折によって調整局面にあり、闘争と
訪日に先駆けて中国を訪れたフィリピンのドゥテルテ大統領。習近平国家主席との駆け引き、軍配は?(写真:代表撮影/ロイター/アフロ) 暴言と麻薬犯罪の容赦ない掃討ぶりで、日本でも注目されているフィリピンのドゥテルテ大統領は25日から日本を訪問。この訪日による日本とフィリピンの外交成果については、この原稿を書いている時点ではわからないのだが、その前に行われたドゥテルテの訪中については、すこし整理してまとめておく必要があるだろう。ドゥテルテ訪中によって、南シナ海情勢は何か変わるのか変わらないのか。 「日本より先に」「六中全会前に」 ドゥテルテは10月18日から4日の日程で北京を訪問、国家主席の習近平はじめ、李克強(首相)、張徳江(全人代常務委員=国会議長に相当)、張高麗(国家副首相)らと会談。CCTVの単独インタビューを受けて、南シナ海の共同開発に意欲的な姿勢を見せたうえに、中国フィリピン経済貿易
大連万達の2つ目のテーマーパークが中国・合肥市に開業。写真中央が王健林(写真:Imaginechina/アフロ) 「王健林がハリウッドに侵食していると、米国人たちが慌てている」。そういう趣旨の記事が中国国内でも10月初旬に相次いだ。中国一の大富豪にして大実業家の王健林率いる大連万達集団が米テレビ制作会社大手ディック・クラークプロダクションを10億ドルで買収しようとしている、と米紙WSJ(ウォールストリートジャーナル)などが危機感をもって報じたことを受けての記事だ。 ディック・クラークプロダクションといえばゴールデングローブ賞やアメリカンミュージックアワード、ビルボードミュージックアワードなど、米国映画、音楽文化を代表する賞を主管する。今年1月に、ジュラシックパークなどを制作した米大手制作会社レジェンダリーを35億ドルで買収したことに続いて、いよいよ中国がハリウッド乗っ取りに王手をかけた、こ
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