1968 [著]小熊英二/滝山コミューン一九七四 [著]原武史[掲載]2010年8月8日■【1968】戦後最大の社会変動の「物語」描き切る 1968年と1974年。戦後の二つの西暦年を表題に掲げたこの2冊は、同じ62年生まれの気鋭の学者2人が、まったく対照的な方法でそれぞれの年の歴史性にアプローチした著作である。 小熊英二さんの『1968』は上下、各千ページを超える大著だ。全国でベビーブーム世代の若者たちが起こした「あの時代の反乱」とはなんだったか、その全体像を描こうという壮大な企図による。 起点を65年の慶大学費値上げ反対闘争に置き、72年の連合赤軍事件を一つの終わりとして、時代背景や60年安保後のセクトの状況から主要な闘争、ベ平連、リブなども含め膨大な資料を読み込み、再現していく。その空気を直接知らない世代である著者は、「神話」や「ドラマ」の衣装をはぐことにも容赦がない。大半の若者にと