「パウエル議長は現代貨幣理論(MMT)にすべてをささげているかのようだ」 このような声が米国の政界・金融界の間で広がっている。昨年「MMTは間違った理論だと思う」と語っていたパウエル米FRB(連邦準備制度理事会)議長の行動が、新型コロナウイルスのパンデミックで一変しているからである。 パウエル氏は16日の米上院委員会で「財政悪化を懸念するのではなく、今は歳出増で経済再生を優先すべきだ」と追加の新型コロナウイルス対策を求める発言を行った。トランプ政権は1兆ドル規模のインフラ投資などを検討しているが、パウエル氏は「米国の強力な財政余力を使うべき時だ。我々もやれるべきことはやる」として、国債利回りに一定の上限を設ける「イールドカーブ・コントロール」の導入を示唆している。 日本でもMMTが話題になっているが、簡単に説明すれば「自国通貨建ての国債を発行している政府は財政赤字を心配する必要はない。高イ