昔からそうだと思うが、九重のうちにおわしますやんごとなきかたがたをめぐる怪しきお話、つまり皇室についてのデマに興味をもつ人は少なくない。 いわく、明治天皇はすりかえられた別人である。いわく、秋篠宮の実の母は別にいる。「皇室デマ」の多くは扇情的でおどろおどろしいが、それこそ荒唐無稽な話であり、まともな人が信じこむことはない。 そのものずばりの皇室デマは畏れ多いという気持もあって表で公言されることは少ないけれど、それとは別に「皇室関連デマ」というのもあって、こちらは畏れがブレーキとして働くことがないぶん広がりやすくて厄介である。 「皇室関連デマ」というのは、主に政治家が皇室に対して無礼なことを言った・やった・考えている、というデマである。皇室に仇なす逆賊、朝敵認定、みたいなものだ。今はともかく、明治憲法体制の頃にデマのため「朝敵」と認定された人はさぞひどい目にあったことだろうと想像できる。21