人体に例えるなら「動脈硬化」といえるだろう。高度成長期からバブル期まで、日本の隅々にものを届け、自らも稼いできた「トラック野郎」は、今や老いた。これまでの二回(十月三十日、今月六日)では、長時間労働や給与外の仕事もさせられるようになり、若者がこの仕事に背を向けている様子が浮かび上がった。現状でも主力は四十、五十歳代。放置すれば安全輸送上のリスクとなりかねない。この現実にどう対処したらいいのか。 (三浦耕喜) 「記事にするなら『都内でトラック五十台の中堅運送会社の五十代男性社長』で勘弁して」。応接室で社長は話した。「私たちの立場は弱いので。仕事を切られるわけにはいかない」。膝の上で両手を組む。 取材したことをぶつける。実走行時間以上に、荷の積み降ろしを待つ待機時間が長いこと。順番待ちで車から離れられないのに、待機時間の多くが「休憩時間」扱いなこと。本来は荷主側の仕事なのに、「付帯業務」名目で