PK戦勝利の瞬間。途中交代で退いていた浦和MF高木俊幸(25)は、ベンチ前のピッチに突っ伏したまま、動けなくなった。 涙があふれて止まらない。「自分が結果を出して勝ち上がってきたカップ戦で、最後に勝って終われて、本当にうれしかった」。大会5戦4発。チームを久々の国内タイトルに導く、影のMVPと呼ぶにふさわしい大活躍だった。 そんな高木だが、7月半ばまではリーグ戦出場が2試合のみ。先発はゼロだった。そんな試練を乗り越え、歓喜の瞬間を迎えた。他の選手とは違う感慨があった。だからこそ、涙が止まらなかった。 一時はベンチ入りすらできなかった高木が、クラブ10年ぶりタイトル奪取の立役者になった。その裏には、実はあるOBの後押しがあった。 ◇ ◇ 7月17日、さいたまダービー大宮戦。ひざの負傷から復帰し、調子を上げていた高木は、事前の練習で十分なアピールができたと手応えを得ていた。 「練習から、す