私たちは空間3次元、時間1次元からなる4次元の世界で生きており、生命の星・地球がある宇宙こそが唯一無二の宇宙──。普通に生きていれば、これに何の不思議も不都合も感じることはないと考えている。 しかし、最新の宇宙論によると、私たちは10次元の世界で生きており、宇宙は無限に存在している可能性があるらしい。マルチバース論(多元宇宙論)である。これは一体どういうことか。『多元宇宙論集中講義』(扶桑社)を上梓した野村泰紀氏(カリフォルニア大学バークレー校教授、バークレー理論物理学センター長)に話を聞いた。(聞き手:関瑶子、ライター&ビデオクリエイター) ──書籍では、私たちが全宇宙であると思っていた領域を「我々の宇宙」という言葉で定義していました。「我々の宇宙」とはどのようなものなのでしょうか。 野村泰紀氏(以下、野村):ぱっと見、3次元であること、モノが原子で構成されていること、原子をさらに細かく