切刃造りで、反りのない直刀。刃長65.8cm。鎬造で反りのある日本刀が誕生する以前の形式を示す。なお、現代の刀剣用語では「剣」とは両刃で左右対称形のものを指し、本品のような片刃の直刀には「大刀」の字を当てている。 「丙子椒林剣」という名称の由来は、腰元の平地に隷書体の「丙子椒林」の4字が金象嵌で表されていることによる。「丙子椒林」の解釈には諸説あるが、「丙子」は作刀された年の干支、「椒林」は作者と解釈され、隋代に大陸から伝来した品との説が一般的である。 茎(なかご)の先端部を一部欠き、忍孔が一部欠落している。地鉄は梨子地肌風であり、直刃(すぐは)の刃文を焼く。この時期の上古刀としては現存する最高の出来であるとされる。同じく四天王寺に伝わる七星剣とともに聖徳太子の佩刀と伝えられる。この種の上古刀の伝世品(出土品でないもの)は正倉院宝物の刀剣類以外には稀少で、貴重な存在である。 大正元年(19