歴史的な敗北 中国の杭州でG20サミットが始まった日の夜中、メルケル首相を悪夢のようなニュースが襲った。9月4日、メクレンブルク=フォーポマーン州の州議会選挙で、彼女の党CDU(キリスト教民主同盟)が歴史的な敗北を喫したのだ。 メクレンブルク=フォーポマーン州は、旧東独の、バルト海に面したメルヒェンのように美しい地方だ。メルケル首相の選挙区でもあるが、小さい州なので、普段ならたいして注目もされない。 ところが今回は違った。この選挙には、最近落ち続けているメルケル首相の人気を見極め、かつ、来年の総選挙の動向を探るという二つな重要な意味があったからだ。 現在、メクレンブルク=フォーポマーンの州政府は、SPD(社民党)とCDUの大連立だが、今回の選挙では、両党がともに大きく得票率を減らした。 代わりに急伸したのが、2013年に結成された右派の新党、AfD(ドイツの選択肢)だ。それも、AfDが C