中国でフードデリバリーサービスが急拡大している。その配達人たちが働く環境は悲惨だ。厳しい配達期限を課され、守れなければ罰金を支払わなければならない。これが交通事故を招く。それでも彼らは正社員でなく、アリババなど大手は雇用関係を否定する。ギグワーカーの悲劇が中国にもある。 北京の、いてつくような火曜の夜のこと。道路を塞いでいるのがうつぶせに倒れた男性だということに、私はしばらく気づかなかった。その頭の周りにはどす黒い血だまりが広がっていた。 私はスクーターにまたがり、前にいる配達員が動き出すのを待った。ふと、配達員の向こうに男性が倒れているのを改めて見て、それが衝突事故の光景であることを悟った。 「医者は呼びましたか」。私は配達員に尋ねた。彼はスピード宅配サービス「閃送(Shansong Express)」の鮮やかな青の制服を身に着けている。「いえ、呼んでないです」。配達員は、ぶつかった相手
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