→紀伊國屋書店で購入 スタニスワフ・レムの『ソラリス』はSFのみならず、20世紀文学の古典といっていいが、沼野充義氏によるポーランド語原著からのはじめての直接訳が2004年に国書刊行会の「レム・コレクション」の一冊として出版された。 この作品がはじめて日本語になったのは1965年のことだった。早川SFシリーズから出た飯田規和訳で、『ソラリスの陽のもとに』という題名で親しまれた。わたし自身、飯田訳によってこの作品を知った。日本語としてこなれた文学性ゆたかな訳文で、現在も文庫で入手可能だが、ロシア語からの重訳という根本的な問題があった。 飯田訳が底本としたロシア語訳にかなり欠文があるという話はSFファンの間では早くからささやかれていたが、原著がポーランド語という容易に接近できない言語だったために、しだいに尾鰭がついていった。タルコフスキーの映画が公開された頃には原著は邦訳の倍以上の長さがあると
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