今日、様々な事情で住み慣れた国を離れ、外国に住んでいる人が、世界中に大勢います。その人たちは、若い頃は、海外暮らしにほとんど支障も葛藤もないかもしれませんが、高齢になってくると、心境や状況はどう変わっていくのでしょう。今回は、外国生活が長い人の間でも、話題にされることが少なく、対応の検討が先送りにされがちな、外国での老後というテーマについて、スイスの老人ホームを例に、少し具体的に考えてみたいと思います。 スイスの公立老人ホームは、全般にアメニティーが高く、居住者は一見不自由のない生活をしているように見えます。例えば人口10万人強のヴィンタートゥアWinterthur市にある市営老人ホームは、交通の便の良い市内の五ヶ所にバランスよく点在しており、ホームの敷地内には、一般のひとも利用できる庭やレストランのほか、美容室や保育園(現在建設中)なども併設されています。居住者は自活能力に合わせてサービ
![終の住処としての外国――スイスの老人ホームにおける 「地中海クラブ」の試み/穂鷹知美 - SYNODOS](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/6d90fea4a1e022a503f4706eb0d54dd64301957b/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fsynodos.jp%2Fwp2%2Fwp-content%2Fuploads%2F2021%2F06%2Fcbd0aecd50408633acb8fa44a0180a32.jpg)