2011.8.30 知財、メディア&アートの法務 第19回 「著作権者等不明の場合の裁定制度 ~孤児作品は侵害しながら使う? 使わない? それとも…。」 弁護士 鈴木里佳(骨董通り法律事務所 for the Arts) 1.はじめに 古い映画をインターネット配信したい、文庫の表紙絵を使ってイラスト集をつくりたい等、作品の利用を検討するにあたり、まず考える必要があるのが、著作権者等の権利者の許諾を得ることです。 ただ、「権利者の許諾」といっても、実際にはそう簡単にはいかないことも多いかと思います。 古い作品であれば、その作品を創作した方が亡くなられ、相続人が誰かわからない場合もあるでしょうし、著作権を保有していた企業がいつのまにか倒産していたなんてことも、このご時世、珍しくはありません。 また、当初の(あるいは特定の時点の)著作権者が判明したとしても、著作権は、本来的に自由に譲渡できるも