前回は、雇用市場における競争をイス取りゲームに例え、少子化、高齢化の進行によってゲームの参加者が減っているものの、参加者数の減少ペース以上の速さでイスそのものの数が減っている状況であり、その原因を、短期的な要因と構造的な要因とに分けて説明を行った。そしてイス(雇用)の数の減少のしわ寄せが、わが国の雇用慣行の特徴である新卒一括採用を介して、若い世代に及んでいることを指摘した。 今回は、イスの数の減少が進行していく中にあって、そもそもイスに座り続けるゲーム参加者が居り、かつそうしたルール無視の参加者を排除できない場合の、影響について見てみる。 雇用調整助成金制度は「一時的」な下支えか そもそも、イスに居座り続ける労働者の存在は、政策的に政府が奨励している場合と、高度成長期以降企業が形成してきた雇用慣行を裁判所がサポートする結果、であるところが大きい。 景気悪化の影響により、企業が雇用を維持でき