環太平洋の国々を緊張の波が駆け抜けた。南米のチリ中部沿岸沖で発生した巨大地震に伴う津波に対しての警戒だ。 地震の規模は、米地質調査所によるとマグニチュード(M)8・8という大きさだった。1900年以降、5番目の強さであるという。 観測史上の最大は、1960年5月にチリで起きたM9・5の地震である。このとき発生した津波は1日がかりで太平洋を渡って日本列島に押し寄せ、140人を超える命を奪っている。 この災害は「チリ地震津波」として、津波の恐ろしさを世界に周知させることになった。今回の地震の震源は、50年前の超巨大地震の震源域の北側に接している。位置も規模も、半世紀前の悪夢を想起させるのに十分だった。 気象庁は、全国の太平洋岸や瀬戸内海地方に警戒や避難を呼び掛けた。青森県から宮城県にかけて国内では17年ぶりとなる大津波警報がだされるなど、厳重な警戒態勢が敷かれたが、幸い大きな被害には至らなかっ