「言葉は祝福にもなるし、呪いにもなるんです」。そう語った作家・西加奈子さん。8年ぶりに発表した短編小説集『おまじない』は、少女、ファッションモデル、キャバ嬢、妊婦……など、ひとりひとり異なる女性と、彼女たちを救いだすおじさんたちの「おまじない」の言葉を編んだ物語。「全ての女性を肯定したい」のと同時に「おじさんたち」に柔らかなまなざしが注がれたこの作品には、人同士が性別を問わずにフラットにちゃんと優しくなれますようにという願いが込められています。 「こうしなければいけない」という呪いを解いた先の世界では、もしかしたら「『こうしなければいけない』から脱しなければならない」ということも、時には呪縛になり得てしまうのかもしれない。そんなふうに「正しいこと」を求めていたはずなのに、いつのまにかその「正しさ」に縛られていってしまうことは一見気づきにくく、でもそこにあるたしかな矛盾が柔らかく指し示され、
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