コイトゥス再考 #09 前山田健一 a.k.a ヒャダイン エロスとアイドルの微妙な関係 文/平尾チェリー 写真/辻陽介 古くよりアイドルポップスには「性的ななにかを彷彿とさせる」言葉が不可欠だった。本文中にも出てくる秋元康のおニャン子クラブ、もっとさかのぼるならば山口百恵の初期作品もそう。少女たちが歌う(歌わされる)セックスを連想させるリリックは聴くものに罪悪感の入り混じった背徳的快楽を提供してきた。 話を21世紀に移せば、10年代も終わりに近づいた頃アイドルポップスというジャンルにおいて型破りな作品群を量産する一人の作家が登場した。前山田健一である。ヒャダイン名義でのニコニコ動画への投稿で頭角を現した異端の男。ラディカルなこの作家のペンによる楽曲で少女は七色に変化する。初デートにオドオドする女の子から、男のハートを盗む怪盗少女にまで。 そんな彼に「女性」はどう映っているのだろうか。「エ