各業界で人手不足が深刻になっているが、特に高いスキルを持つ人材の不足が企業にとって大きな課題となっている。日本では「経験」と「勘」に基づく言語化できないスキルが多くの仕事で重用されており、断絶の危機にひんしているものも少なくない。そこでAIなどを活用してベテランのスキルを再現したり、若手に伝承したりする取り組みが進んでいる。昔ながらのアナログなスキルをデジタル技術が支える時代が到来しつつある。 数秒で品質を判定 スマートフォンでマグロの断面を撮影してからわずか数秒。AIが「縮れ」や「焼け」、「脂」などのマグロの味を決める要素を読み取り、ランク(品質)を表示する。電通が開発したマグロ目利きAI「TUNA SCOPE」(ツナスコープ)だ。 世界各地で水揚げし、冷凍されて送られてくるマグロは、切断した尾の断面で品質を見極める目利きが重要になる。わずかな情報からマグロ全体の味を予測するのは非常に難