二宮寿朗 = 文 text by Toshio Ninomiya photograph by Takuya Sugiyama 当たりにもマケズ、走りにもマケズ――。 先のオランダ遠征において最も評価を上げた選手は誰か、と聞かれれば、迷うことなく左サイドバックの長友佑都を挙げたい。世界と比べると日本人プレーヤーが見劣りするフィジカルの部分で、オランダとガーナを相手に彼はよく張り合っていた。フィジカルで渡り合った長友がイエローカードを引き出した。 特筆すべきは、時間をかけずにトップスピードに入り、プレーが出来ていた点。ファンペルシーやロッベン、あるいはガーナのムンタリの仕掛けについていく守備の面で発揮されただけでなく、その能力は攻撃面でも十分に活かされた。 オランダ戦で言えば、前半36分のプレー。長友は味方がカットしたのを確認すると、低い位置からトップスピードで駆け上がって左サイ