■「注視したい」と言うだけの鈴木財務相 4月12日、鈴木俊一財務相は閣議後記者会見で、前日に円相場が一時1ドル=125円台後半に急落したことについて、「為替の安定が重要で、急激に変動することは望ましくない」「日本経済への影響を注視したい」と語った。 新型コロナ対策でもそうだが、「注視したい」というのは、本当に便利な言葉だ。そう言うと、なにかしているような印象を与えるからだ。しかし、政治家がこう言ったときは、実際にはなにもしないことのほうが多い。 もはや、「円安」を歓迎する時代ははるか昔となり、「悪い円安」に時代は変わっている。物価が上がり、給料は上がらないというスタグフレーションを、円安がますます加速させている。 通貨と金利をコントロールし、物価を安定させるのは、中央銀行の役目である。しかし、日銀は世界中の中銀が金融緩和を手仕舞いするなか、いまだに緩和を止めようとしない。止めようとしないば