働きやすい会社こそ潰れやすい ──「日本の終身雇用制度が終わった」と言われて久しい。近年では、名だたる大企業とて倒産やリストラと無縁ではないのだ。山一證券やソニーの社員たちを取材し、ノンフィクション作品を発表してきたジャーナリストの清武英利氏に、潰れる会社や問題のある会社の共通点を聞いた。 意外かもしれませんが、潰れる会社、大きな問題を起こす会社は、緩く働いている人にとっては“いい会社”なんです。私は破たん前後の山一證券も取材していましたが、『しんがり 山一證券 最後の12人』の執筆のために十数年ぶりに元社員の方たちに話を聞いて、改めてそう感じました。たとえば野村證券と比べても、ノルマは厳しくないし、締め付けも激しくない。だから、社内の雰囲気もギスギスしていない。かつては“人の山一”と呼ばれていたほどの企業ですからね。きっと、人間的に優しい人、悪い言い方をすれば他動的な“善い人”も多かった
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