昨年の集団的自衛権に関する閣議による憲法解釈の変更が論理的に矛盾しているから違憲だ、とまでは考えない。政府は、別の憲法解釈に立脚して、新しい論理を構築しようとしている、と捉えることが妥当である。ただ、長年にわたって自らが立脚してきた従来の内閣法制局の憲法解釈を変更するものであるから、法的安定性を揺るがすことには間違いがなく、そのためには、閣議決定による憲法解釈の変更ではなく、憲法改正という方法を用いる方が<統治の作法>としてベターであるとはいえる。今回の安保法制については「戦闘地域」と「非戦闘地域」の区別など、イラク特措法以来,政府が海外における自衛隊の活動の法的規制のあり方について、きわめて苦しい論理を駆使することによって憲法上正当化してきたことは確かであるが、この点については、今回の安保法制も質的に変わらない。政府は常に憲法から見たときグレーの立法を続けてきた、といえるであろう。集団的