リード・ヘイスティングスはある日、返却を忘れていた『アポロ13』のレンタルビデオを自宅で見つけた。それをレンタルビデオ店のブロックバスターに返しに行くと、40ドルの延滞料金を請求された。彼はそこで考えた。「延滞料金がないとすればどうだろう?」と。こうして誕生したのがネットフリックスだ──。 ヘイスティングスと共に同社を創業したマーク・ランドルフは、新著『That Will Never Work(それは決して成功しない)』で「この話は美しく、有用で、マーケティング界で言うように『感情的には真実』だが、物語の全容ではない」とつづっている。 私は先日、ネットフリックスの誕生物語が始まった街であるカリフォルニア州サンタクルーズにて、ランドルフを訪ねた。私たちは、起業家が語る物語と、こうした物語がたとえ全てを語るものではなかったとしても共有するべき理由について意見を交わした。 人々がこぞって聞きたが