うだるような蒸し暑さで全身から汗がしたたる8月上旬の週末の夜。香港有数の繁華街、尖沙咀(チムサーチョイ)の大通り沿いにある警察施設が数千人のデモ隊に包囲された。鉄パイプを持つ若者も登場し、デモの先鋭化を象徴する夜となった。 集まった若者たちは、ネット上の呼びかけに応じた「寄せ集め部隊」。れんがを警察施設に投げつける人もいれば、壁にスプレーで落書きする姿も。リーダーがいないため、破壊行為を止めるブレーキが全くかからない。 香港・尖沙咀の警察施設付近で警官隊とにらみ合うデモ隊。鉄パイプを持つ姿も見られた=2019年8月3日、益満雄一郎撮影 突然、警察の敷地内に停車していた車の中から出火した。誰かが棒で車の窓ガラスを割り、火の付いた物を車内に投げ込んだようだ。慌てて写真を撮りに近づいたが、もし、車のガソリンに引火したら爆発しかねない。撮影後、ようやく気づいた私はぞっとした。 デモ隊の一人、無職の
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