「「亡国農政」の終焉(山下一仁)」(参照)は、農政アナリストの山下一仁による新刊の新書である。民主党政権になったことを踏まえて書かれた農政のヴィジョンがまとめてある……と言いたいところだが、そうした関心で読み進めるとやや困惑感もあるかもしれない。「極東ブログ:[書評]農協の大罪 「農政トライアングル」が招く日本の食糧不安(山下一仁)」(参照)で触れた名著といってよい同書のエピローグ的な内容も含まれているが、書籍としての骨格は残念ながら散漫な印象を与える。 本書では民主党政権下で日本農政がどのように変化するかについて、かなり明確に描かれている。私が受け止めた部分を、あえて結論だけ言えば、自民党政権下で形成された農政のトライアングル「自民党農林族・農協・農水省」から、新しいトライアングル「民主党農林族・兼業農家・農水省」になる。つまり、農協が退出する。農協という不思議な金融機関の消滅は、それ自