正森成二『質問する人 逃げる人』 正森成二が死んだ。 「正森? だれ?」とかいう、無邪気さを装って悪いことを企んでいそうな人間のために、懇切丁寧な解説をしておけば、共産党の国会議員だった人間である。28日付(2006年10月)の毎日新聞のコラム「近聞遠見」で岩見隆夫がとりあげ〈長く国会論戦の花形だった〉と形容した。本書は、岩見がそのコラムでとりあげていた正森の著作である。 ぼくの大学時代の正森の印象 たしかに正森は〈論戦の花形〉だったという印象はある。 とはいっても、正森が活躍していた80年代、ぼくは高校生で、国会中継などはほとんど興味がなかった。 ぼくが印象に残っているのは、むしろ当時はじまった「朝まで生テレビ」などでの論客ぶりだった。あのころ、ベルリンの壁の崩壊や天安門事件などで「社会主義」の問題が「朝生」でもテーマになっていた。同じ共産党でも、上田耕一郎が「プロレタリア独裁」について