天理教は、江戸末期に生まれたメシア信仰的な新興宗教だ。教祖の中山みきは豪農の妻だった。 中山はあるとき、病弱な長男のために山伏に祈祷を頼んだ。その際、巫女が不在だったので、中山が代理を務めることになった。すると儀式の最中に中山は突然「神がかり」の状態になり、彼女の口から啓示がくだった。こうして中山は、「おやさま」と呼ばれる教祖となった。 それから1854年までに、彼女はささやかな“革命”を起こした。安産祈願の儀式「をびや許し(安産の許し)」を始めたのだ。当時、妊娠した女性は出産につきものとされた穢れを払う儀式を受け、安産を祈願してもらっていたが、中山はその儀式抜きで女性たちに安産を約束した。彼女が始めた新しい宗教は、精神的な意味で女性を束縛から解放したのだ。 中山は同和地区とも関わりを持ったが、そのせいで地域住民は天理教信仰から離れていった。天理教は当時の社会を覆す邪悪で不道徳な「淫祠邪教