ローマ劇場は、植民地アウグスタ・エメリタの時代からスペインのメリダに残る数多くの古代の建造物のひとつ。観光客の少ないこの街ではほかにも、水道橋、住宅跡、手の込んだモザイク画などが見られる。(PHOTOGRAPH BY DAVID HERRAEZ CALZADA, ISTOCK/GETTY IMAGES) ローマ帝国は紀元1世紀に最盛期を迎え、北は英国、南はエジプト、東はシリア、西はポルトガルまで領土が広がっていた。600カ所を超えるその遺跡の中でも、現代スペインの都市メリダにあるアウグスタ・エメリタの遺跡ほど、古代ローマの生活の様子をありのままに、その複雑さまで垣間見せてくれる場所はない。 メリダは知名度こそ高くないものの(ローマやポンペイと並んで語られることはほとんどない)、残っているローマ時代の建造物は数多い。現代の都市の内部には、水力を利用した装置、橋、広場、劇場、円形闘技場、円形競