自宅の階段を上ると、真っ先に私の目に飛び込んできたのは500色の鮮やかな色鉛筆でした。京都アニメーションで長年、色彩設計に携わっていた石田奈央美さん。繊細な色使いで登場人物の心の動きを表現し、多くのファンを魅了してきました。奈央美さんが色への感性をどうやって磨いて、鮮やかな色を表現してきたのか。私は知りたいと思いました。 (岩根佳奈子ディレクター) 「500色の色鉛筆」 奈央美さんが毎日通る部屋の前に飾られていた500色の色鉛筆。淡い色から濃い色まで黄色だけでも20種類以上のグラデーションに分かれていて、よく見ると1本1本名前が付けられています。「あぜ道のたんぽぽ」「朝食のスクランブルエッグ」「色づくいちょう並木」など。色のある情景を感じさせるユニークな名前です。 25年以上前に神戸市の通信販売会社が企画した商品で、母親によると奈央美さんが入社間もない頃に購入し、ずっと大切に部屋の前に飾っ