映画『シン・ウルトラマン』を見て、疑問を持った。そして自身の疑問は、本作の「現実感の希薄さ」に起因するものではないか、と考えた。 現実感の希薄さとは、怪獣やウルトラマンの存在への疑問、すなわち、柳田理科雄氏が『空想科学読本』シリーズの中で提起したような、「このような生物が現実に存在できるのか、否か」といった意味ではもちろんない。 特殊な能力を持った怪獣(本作では「禍威獣」と命名される)、またそれに対峙するウルトラマンのような存在が地球上にあらわれたとして、人間たちが果たしてどのような反応を見せるのか。いうなれば危機に対峙する人間たちの、リアリティの問題である。 結論から言えば、本作における人間たちのありようは、あまりにも「他人事」であり、かつ、戦いそのものにも現実感がともなっていないように感じられた。その内実について、順番に見ていこう。 本作においてやがてウルトラマンであることが判明する、