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  • 楽しく生きるための100冊 2019|さとなお(佐藤尚之)

    ボクが主宰している「コミュニティ4th」では、毎月「Bookトライブ」という読書会をやっています。 一冊課題図書を決めて、みんなで読んできて感想を言い合う、という会ですね。 そこでここ数年、何を読んできたか、というのはこちらに書きました。 で。 去年の年末、そのトライブによく来ている谷川敦さん(あだ名はタフマン)という30歳男子(当時)が、こんなようなことを相談してきました。 「教養のある大人になりたいなあ、とぼんやりとした憧れを持っているんですが、ほとんど本も読まずに30歳になってしまいました。来年はBookトライブの課題図書だけでなく、もっとたくさん本を読みたいと思うのですが、絶対読むべき本を100冊くらい教えてくれませんか?」 ・・・なるほど。 ちょっと上からになって申し訳ないけど、良い心がけじゃw。 よし、ここはボクだけでなく、驚異の本読みにして「Bookトライブ」の部長である高島

      楽しく生きるための100冊 2019|さとなお(佐藤尚之)
    • ファンタジーの最高傑作『氷と炎の歌』

      夢中にさせて寝かせてくれず、ドキドキハラハラ手に汗握らせ、呼吸を忘れるほど爆笑させ、ページを繰るのが怖いほど緊張感MAXにさせ、食いしばった歯から血の味がするぐらい怒りを煽り、思い出すたびに胸が詰まり涙を流させ、叫びながらガッツポーズのために立ち上がるほどスカッとさせ、驚きのあまり手から本が転げ落ちるような傑作がこれだ。 この世でいちばん面白い小説は『モンテ・クリスト伯』で確定だが、この世でいちばん面白いファンタジーは『氷と炎の歌』になる。 書いた人は、ジョージ・R・R・マーティン。稀代のSF作家であり、売れっ子のテレビプロデューサー&脚本家であり、名作アンソロジーを編む優れた編集者でもある。 短篇・長編ともに、恐ろしくリーダビリティが高く、主な文学賞だけでも、世界幻想文学大賞(1989)、ヒューゴー賞(1975、1980)、ネビュラ賞(1980、1986)、ローカス賞(1976、1978

        ファンタジーの最高傑作『氷と炎の歌』
      • 今年(2023年)おもしろかった本を一気に紹介する。 - 基本読書

        今年おもしろかった本を一気に紹介します。大きめの書店が次々閉店し、人手不足や配送の問題もあって出版的には厳しい時期が続くがおもしろい本は依然として絶えない。あとゲームもいっぱいやったので、本だけでなくゲームも合わせて振り返っていこう。いつもは長くても5000文字ぐらいだが、今回は試しに合計1万文字以上書いてみたので、よかったら目次から興味あるやつにとんで読んでみてください。 SFを紹介する キム・スタンリー・ロビンスン『未来省』 N・K・ジェミシン『輝石の空』 ローラン・ビネ『文明交錯』 シーラン・ジェイ・ジャオ『鋼鉄紅女』 ジョン・スコルジー『怪獣保護協会』 『宇宙の果ての本屋』 ジョン・スラデック『チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク』 酉島伝法『奏で手のヌフレツン』 川端裕人『ドードー鳥と孤独鳥』 斜線

          今年(2023年)おもしろかった本を一気に紹介する。 - 基本読書
        • 【小泉悠】元大使の一本の電話、道を開く 目指すは「オタク」を束ねるプロジェクト:朝日新聞GLOBE+

          突然かかってきた電話の主は、元ウズベキスタン大使の河東哲夫さんだった。 河東さんは、外務省を辞めて評論家として活動していた。面識はなかったが、小泉さんが軍事雑誌に書くものを読んでいた。 「彼には、事実関係を丹念に拾い出すだけでなく、それが意味することを概念化する力があった。他の著者とはちょっと違っていたんです」 「一度、会って話さないか」と河東さんに誘われ、都内のホテルで食事をした。 「大学ではアカデミックな研究が出来なかった」と打ち明けた小泉さんに、河東さんは言った。「アカデミックではない研究をやればいいじゃないか」 そうか、大学でなくても研究はできるはずだ。ニッチなことをやれば仕事の需要はあるのかもしれない、と思うようになった。 2018年にパリの武器展示会「ユーロサトリ」で=本人提供 2009年、河東さんの推薦で外務省国際情報統括官組織の専門分析員になった。ロシアの軍事関係の分析レポ

            【小泉悠】元大使の一本の電話、道を開く 目指すは「オタク」を束ねるプロジェクト:朝日新聞GLOBE+
          • アメリカ大統領選挙の支持地盤で読む、アメリカ文学リスト - ボヘミアの海岸線

            2020年アメリカ大統領選挙は激戦だった。2016年大統領選挙以降、世界中で、共和党と民主党それぞれを支持する「支持州」と「支持層」に注目が集まったように思う。 アメリカの大統領選挙は、人口ごとに選挙人数が割り振られ、州ごとにどちらかの政党を選ぶ「勝者総取り方式」が大半だ。そして州ごとにどちらかの政党を選ぶ傾向があり、この傾向は「土地」と「社会構成」を反映するため、多くのニュースやエッセイが問いを投げかける。 各政党の支持地盤はどんな地域か、どんな歴史があるのか、どんな人たちが住んでいるのか? この問いにたいする論考やエッセイ、書籍はすでにたくさんあるが、「アメリカ文学」もこの問いにたいして答えのひとつを持っている、と思う。 文学は、土地と社会と人によって育まれる。「どんな人たちなのか」「その人たちが生きる土地はどんな場所か」「その土地はどんな歴史を持っているのか」を知るには、うってつけだ

              アメリカ大統領選挙の支持地盤で読む、アメリカ文学リスト - ボヘミアの海岸線
            • あなたにとって「働く」とは何? 文学から哲学まで仕事の見方を変えてくれる5冊|文・石井千湖 - りっすん by イーアイデム

              30歳前後になると、今一度キャリアを見つめ直し、転職や独立など新しい働き方を検討する人は少なくないと思います。加えて、労働環境の変化やコミュニケーションツールの発達が進む昨今では、多くの選択肢が目に入ってくるため、どのように自分らしく働くか、悩んでいる人も少なくないのではないでしょうか。 そこで今回は、書評家の石井千湖さんに、そもそも私たちにとっての「仕事とはなにか?」「働くとはなにか?」を考え直すきっかけをくれる5冊をご紹介いただきました。最近、自身も働き方の変化を経験したという石井さん。文学から哲学まで幅広いラインナップの中から、春を迎える前に改めて自分と仕事の関係について考えてみてはいかがでしょうか。 ***仕事ってなんでしょうね? 突然すみません。石井千湖と申します。わたしは子供のころから本が好きで、書店員を経てブックレビューをメインに書くフリーライターになりました。「書評家」と呼

                あなたにとって「働く」とは何? 文学から哲学まで仕事の見方を変えてくれる5冊|文・石井千湖 - りっすん by イーアイデム
              • 「三体」が好きだった人にオススメしたいSF小説・後編

                オラフ・ステープルドン「最後にして最初の人類」は現代の人類から数えて第18番目の人類の進化を描写する奇書で、巨大な脳みそだけの存在になったり、知性を退化させてトドかアザラシみたいになってしまったりと、何億年にも及ぶ人類の歴史が豊かな空想力で描かれる。プロットとキャラクターは極めて希薄で、現代の作家がこんな作品を書いて売れることは考えにくいのだけれど(ほぼ設定資料に近いかも)、個人的にはお気に入りと言うか性癖に近い魅力を感じる。 「スターメイカー」はそれをさらに発展させたもので、時間と空間を越えて精神が銀河を飛び回り、エキセントリックなエイリアンの生態の設定を惜しげもなく披露しつつ、それが銀河の歴史にどのような影響を与えたかを語る。そして、この宇宙を創造した存在の意図を探求する旅をする。光速の限界があるため、その旅やエイリアン同士の交流はテレパシーで行われるという設定はSFとしては苦しいが、

                  「三体」が好きだった人にオススメしたいSF小説・後編
                • 明治時代に貧乏人の子供に憧れ苦学生のコスプレをするお金持ちの子供がいた - 山下泰平の趣味の方法

                  貧乏人の子供に憧れるお金持ちの子供たち 明治時代には、お金持ちの子供が貧乏人の子供に憧れることがあった。貧乏人の子供の格好を真似してみたり、貧乏生活に挑戦してみる子供すらいた。なんでそんなことをするのかといえば、単純に馬鹿だからである。しかしながら馬鹿が馬鹿みたいな行為をするにしろ、そこには理由や理屈がある。そんなわけで、なぜ明治時代にお金持ちの子供が貧乏人の子供に憧れ、苦学生のコスプレをしたのか解説してみよう。 富豪の息子たち そもそも貧乏人の子供に憧れるお金持ちの子供がいたこと自体が、信じ難い人がいるかもしれない。まずは実例を紹介しておこう。 市川好廉は慶応大学を経て、実業家となった男である。彼の父市川好三は山梨県出身の米穀商で、一八七六年に設立された第三国立銀行の出資者の一人だ。第三国立銀行の初代頭取は安田善次郎で、ようするに今でいうところの富豪の息子なのだが、この人は苦学をしたと自

                    明治時代に貧乏人の子供に憧れ苦学生のコスプレをするお金持ちの子供がいた - 山下泰平の趣味の方法
                  • 現代ではありえない、数々の破滅的な冒険を繰り返した海賊たちの冒険録──『海賊たちは黄金を目指す: 日誌から見る海賊たちのリアルな生活、航海、そして戦闘』 - 基本読書

                    海賊たちは黄金を目指す 日誌から見る海賊たちのリアルな生活、航海、そして戦闘 作者:キース・トムスン東京創元社Amazonこの『海賊たちは黄金を目指す』は、1600年代の後半、スペインの海や街を荒らしまわり、破滅的な戦闘を幾度も乗り越えてきた伝説的な海賊たちの日誌をもとに、その冒険を描き出した一冊である。「海賊ノンフィクションに外れなし」と僕が勝手に思うぐらいには海賊について書かれたノンフィクションはおもしろいものが多い。 本書もその例に漏れないどころか、数多ある海賊ノンフィクションの中でも群を抜くおもしろさだ。原題「BORN TO BE HANGED」(絞首刑になるために生まれてきた)が示すように、自分の命を投げ売ってでも大金を手に入れ、敵を殺すぞ! という破滅的な気性。船や街を襲って大量の金を手に入れても、船内の賭博で金をすべてスってしまい、マイナス分を取り戻そうとしてまた別の街を襲い

                      現代ではありえない、数々の破滅的な冒険を繰り返した海賊たちの冒険録──『海賊たちは黄金を目指す: 日誌から見る海賊たちのリアルな生活、航海、そして戦闘』 - 基本読書
                    • 必読書コピペにマジレスしてみる・ミステリ編

                      方針・目的ミステリはほとんど読まないので読んだのだけ最近のミステリは全然読んでない少しでも多くの人を読書沼に引きずり込みたい必読書を挙げるというより、自分の一押し的なものにする高校生までとは言わない、好きなときに読もうただし、できたら老眼になる前がいい犯人は伏せるが少しだけネタバレあり元増田→anond:202102151015001. エドガー・アラン・ポオ「モルグ街の殺人」先日も述べたように自分はポーの作品が好きではあるのだけれども、ミステリの黎明期は今でいうところの禁じ手を平気で使っているものが多く、純粋にストーリーを楽しもうとするとずっこけることがある。とはいえ、論理と推論をたどることによって面白い話を作りだすのを始めたのは彼なので、ミステリが好きなら読んでおきたい。確かに意外な真犯人ではある。 3. コナン・ドイル「シャーロック・ホームズの冒険」同じく、今でいえばお粗末な話も時折

                        必読書コピペにマジレスしてみる・ミステリ編
                      • 世界文学を100ヶ国分読んでみた【全100冊紹介】 - ゴミ本なんてない

                        元々読書好きを自称してはいたものの、なんだかんだいって結局読んでいるのは欧米や日本人作家の作品ばかり…。そんな折にこの、世界各国の代表的な小説を一年で196冊読んだ方の記事が目に飛び込んできて、早速自分もやってみようと決意したのが2016年初頭。それからちょこちょこ特定の国の本を探しては、読み進める事丸三年!ようやく100冊読み終える事ができました。まさかここまで時間がかかるとは思っていなかったものの、海外文学の造詣を深めるとびきり良い機会になりました。ひとところに居ながらにして、ここまで自分の世界が拡がるとは思わなかったなぁ。 読んだ世界の小説100冊 今回の試みでは、各国に所縁のある作家の作品を読み、あらすじと感想を地域順に並べています。そのため、舞台が必ずしもその国に設定されているとは限りません(例えば、ポーランド出身の記者が描いたアフリカのルポ作品は「ポーランド」に分類)。この方が

                          世界文学を100ヶ国分読んでみた【全100冊紹介】 - ゴミ本なんてない
                        • 平成ライトノベル史――#ライトノベルオールタイムベスト のための走り書き|羽海野渉

                          ※この原稿は、2018年末~2019年初頭に羽海野渉が書き、その後『#ライトノベルオールタイムベスト』の選考における指針となった論考である。なお、『PRANK! Vol.4』に掲載された原稿は本稿の草案であり、似ている部分があることをここに記しておきたい。また、2021年現在、少し異なる部分があることを注記しておく。 ですので、過去に書かれた原稿であることを考慮したうえで、『#ライトノベルオールタイムベスト』と合わせて読んでください(今ならもっと違う感じに書きます)。そっちがメインです。 ◆はじめに ライトノベルという単語をご存じだろうか。もしあなたがご存じないとしても、書店などの片隅でアニメや漫画に近いイラストが表紙に装丁された書籍を見たことがあるかもしれない。ライトノベルとは戦前の少年小説や戦後まもなくのジュブナイル小説などを祖として、アニメや漫画などのコンテンツと密接な関係を保ちつつ

                            平成ライトノベル史――#ライトノベルオールタイムベスト のための走り書き|羽海野渉
                          • 『SFマガジン』編集長・塩澤快浩が語る、SFが多様性を獲得するまで 「生き延びることしか考えてきませんでした」

                            『SFマガジン』編集長・塩澤快浩が語る、SFが多様性を獲得するまで 「生き延びることしか考えてきませんでした」 2020年2月号が創刊60周年記念号となった「SFマガジン」を発行する早川書房は今年、ハヤカワ文庫創刊50周年を迎え、「ミステリマガジン」9月号、「SFマガジン」10月号でそれぞれ記念特集を組んだ。 長年、SFにかかわり、現在では国内と翻訳の編集部全体を統括する立場の塩澤快浩氏(早川書房事業本部副本部長兼編集統括部長兼SFマガジン編集長)にジャンルの専門誌である「SFマガジン」の歩み、SFの過去と現在について訊いた。(9月15日取材/円堂都司昭) 「SFマガジン」の仕事を始めてからSFを読み始める ――早川書房へ入社する前は、SFに興味がなかったそうですね。 塩澤:高校の頃から翻訳もののハードボイルド、冒険小説を読み始めました。大学時代もそういうものばかり読んで就職活動はほとんど

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                            • 23/8/29 「入間人間の手口がだいぶわかってきた」って何やねん - LWのサイゼリヤ

                              「入間人間の手口がだいぶわかってきた」って何やねん 何故小説では回りくどい言い回しをすべきなのか? 完全回答本、発見 回りくどい表現をすべき理由 1. 小説には絶対に対立が必要である 2. 対立は主観的な認識の歪みに起因する 3. 主観的な認識の歪みは語りによって提示される ようやく入間人間の手口に戻る 入間人間の手口はほんとうにわかってきたのか? 「入間人間の手口がだいぶわかってきた」って何やねん 入間人間の手口がだいぶわかってきた パターンあるしセンスじゃなくて技術 pic.twitter.com/UwgeUGKnCP — LW (@lw_ru) 2023年8月28日 何気なくツイートしたこれが妙な伸び方をして創作畑のフォロワーがけっこう増えたので、ここでわかったことについて責任を持ってちゃんと書こうと思う。 というのも、普段は1万RTくらいバズっても実はフォロワー数はあまり増えないの

                                23/8/29 「入間人間の手口がだいぶわかってきた」って何やねん - LWのサイゼリヤ
                              • 数千年におよぶ進化と文明の発展を重ねた蜘蛛と人類の邂逅が描かれる、進化のダイナミズムが詰め込まれたSF長篇──『時の子供たち』 - 基本読書

                                時の子供たち (上) (竹書房文庫 ち 1-1) 作者:エイドリアン・チャイコフスキー竹書房Amazonこの『時の子供たち』は、イギリスの作家エイドリアン・チャイコフスキーのSF長篇である。刊行は2015年で、2016年にアーサー・C・クラーク賞を受賞している。 それ以上の情報は何も持たず、刊行年的には少し古いこともあって期待するわけでもなく読み始めたのだけれども、いやはやこれには驚かされた。テラフォーミング先の惑星で、人類がばらまいたウイルスにより知性を獲得した蜘蛛の数千年に渡る世代交代史・進化の過程。そして、地球を脱出し第二の故郷を求めさまよう人類という二つの視点から物語は描き出されていく。テラフォーミング、独自に進化した蜘蛛、地球を失った人類、「異質なものとの遭遇」など、要素だけみるとクラシックなSFとも言えるのだが、蜘蛛視点の世界の書き込みが凄く、特異な読み味を感じさせる。 蜘蛛は

                                  数千年におよぶ進化と文明の発展を重ねた蜘蛛と人類の邂逅が描かれる、進化のダイナミズムが詰め込まれたSF長篇──『時の子供たち』 - 基本読書
                                • ライトノベルに(ジュブナイル・ヤングアダルト・少年向け・少女向け・青年向け・R-18・新文芸・ライト文芸……)全部含んだら、個人がオールタイムベストを構築することは可能なのかに挑んでみた地獄録 ※暫定○|82(ぱに) / 平々八十二

                                  ライトノベルに(ジュブナイル・ヤングアダルト・少年向け・少女向け・青年向け・R-18・新文芸・ライト文芸……)全部含んだら、個人がオールタイムベストを構築することは可能なのかに挑んでみた地獄録 ※暫定○選リストあり ライトノベルオールタイムベストを生み出そう! という動きがある。この記事を書き出してもう多少時間が経っているのでSNSでの反応や熱量はもう変化しているかもしれないが、日本百名山や百名城で代表されるように、そういったベスト選出はあらゆるジャンル・コンテンツで人気があるし、見るのも作るのも面白いものだ。 ライトノベルを中心に据えたオタクエンタメ史の探求をライフワークとしている身としては、もちろん食いつく。思春期の頃は最強デッキ作りではないが、読んだ作品のお気に入りランキングとか隙あらば作っていた気がするよね。基本脳内でだけど。 けど、本格的にエンタメ史を趣味研究するようになってから

                                    ライトノベルに(ジュブナイル・ヤングアダルト・少年向け・少女向け・青年向け・R-18・新文芸・ライト文芸……)全部含んだら、個人がオールタイムベストを構築することは可能なのかに挑んでみた地獄録 ※暫定○|82(ぱに) / 平々八十二
                                  • デカい肉をたき火で焼いて食べたい

                                    変わった生き物や珍妙な風習など、気がついたら絶えてなくなってしまっていそうなものたちを愛す。アルコールより糖分が好き。 前の記事:ケーキのチョコプレートは謝罪文でこそ真価を発揮する > 個人サイト 海底クラブ デカい肉は狩猟で手に入る 私は自炊派だが、この5年ほど豚肉や牛肉はほとんど買っていない。 狩猟免許をとって以来、冬になると山でシカやイノシシを狩り、自宅に設置した容量100Lの冷凍庫に保存した肉を1年かけて消費するというサイクルができ上がっているからである。 狩猟で一番よく使う猟具は、くくり罠と呼ばれるバネ式の罠だ。 地面の下に設置されたくくり罠を動物が踏むと、縮めたバネを固定しているロックが外れて、バネが戻る力でワイヤーが締り獲物の足をくくるというのがその仕組みである。 こと、シカやイノシシを対象にした大型獣猟についていえば、今の日本列島はとても狩猟者にやさしい環境にある。というか

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                                    • 百合ラノベ、百合SF、百合ミステリその他、百合小説約30冊を読んだ - Close To The Wall

                                      ここしばらく百合小説を集中的に読んでいて、ツイッターでもその都度書いていた感想を適宜手を入れてひとまとめにした。アニメや漫画に比べてそういや百合小説ってそんなに読んでないなと思っていた時、百合ラノベ、百合SFが三月くらいにばっと出たのを機に、手持ちのなから百合と呼びうる本を集めたら結構な量になってしまった。積んだままなものもいくつかある。ここでは、性愛でないものまで含めた女性同士の関係を広く包含するものを百合と呼ぶ広めの解釈なので、同性愛を描いたものからバディものや友人関係のもの、一冊のなかの短篇一篇だけが百合というものも並べてある。 以下は読んだ順に並んでいる。とはいえラノベから読み出したので下に行くほどジャンル的に硬くなる傾向がある。 目次 鳩見すた『ひとつ海のパラスアテナ』 二月公『声優ラジオのウラオモテ ♯01 夕陽とやすみは隠しきれない? 』 みかみてれん『わたしが恋人になれるわ

                                        百合ラノベ、百合SF、百合ミステリその他、百合小説約30冊を読んだ - Close To The Wall
                                      • 生前は評価されず死後に評価された人物 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

                                        何がきっかけで死後に評価されるに至ったか 芸術家や学者の中には、大きな仕事を成し遂げるも生前はまったく評価をされず、当人が死亡した後にその業績の大きさが評価される場合があります。 特に画家など芸術家は、二束三文で売られた当時の作品が今は何億円という価格で取引されるようになるわけです。可哀想としかいいようがないですが、死後も全く知られずに忘れられた人の方が圧倒的に多いわけで、それに比べれば幸運と言えるかもしれません。 本記事では著名な「死後に有名になった人」を集めてみます。 1. エドガー・アラン・ポー 死後にフランスで紹介され人気に エドガー・アラン・ポーはアメリカの小説家・詩人・編集者。 死や恐怖、病といったダークなテーマの作風の小説・詩で知られ、「近代推理小説のパイオニア」と評されています。代表作は「アッシャー家の崩壊」「モルグ街の殺人」「黄金虫」「黒猫」など。 ポーは雑誌編集や文芸批

                                          生前は評価されず死後に評価された人物 - 歴ログ -世界史専門ブログ-
                                        • 架空の神話大系・クトゥルー神話はいかにして生まれ、世界に広がったのか? 森瀬繚さんインタビュー|好書好日

                                          文・朝宮運河 写真・斉藤順子 森瀬繚(もりせ・りょう)ライター・翻訳家 小説やアニメ・ゲームのシナリオの執筆や、ゲームを中心に神話・オカルト・歴史考証に携わる。翻訳家としてはS・T・ヨシ『H・P・ラヴクラフト大事典』(日本語版監修)、リン・カーター他『クトゥルーの子供たち』(立花圭一との共訳)、R・ゼラズニイ『虚ろなる十月の夜』などがある。クトゥルー神話研究家としても、国内の神話作品を網羅したガイドブック『All Over クトゥルー』などの著作がある。H・P・ラヴクラフト作品の注釈付き作品集「新訳クトゥルー神話コレクション」を刊行中(既巻5冊)で、最近kindle版も発売された。 そもそもクトゥルー神話とは? ――近年、「クトゥルー神話」という単語をよく目にするようになりました。ゲームやアニメの題材としてしばしば取りあげられますが、クトゥルー神話とはどんなものなのでしょうか。 主に192

                                            架空の神話大系・クトゥルー神話はいかにして生まれ、世界に広がったのか? 森瀬繚さんインタビュー|好書好日
                                          • 仕事でベストを尽くせない産後の私を支えてくれたのは、誰かが記した「弱さ」だった(寄稿・紺) - りっすん by イーアイデム

                                            文 紺 産後に職場復帰し、ある程度仕事にも慣れた頃、ふと「以前の自分なら、もっと仕事にコミットできたのに」と感じた経験がある人は少なくないかもしれません。子育てをしながら働く上では、産前と同じような働き方をすることは難しいもの。そんな中で「私は役に立てているのだろうか」と、つい自分を責めてしまう場面もあるでしょう。 1児の母であり内科医として働く紺さんは、出産をきっかけに以前のようなハードな働き方を見直したそう。しかしそんな中でも時折、以前のように第一線で働けないことに、もどかしさを感じる場面があるといいます。 そんな紺さんが気持ちを切り替える手段として選んだのは、同じような悩みを抱える人たちが記した文章に触れ、自身でも書き残すこと。読むこと・書くことを通じ、産後働く中での自責感にどのように向き合ってきたのかをつづっていただきました。 出産と育児の厳しさに、医師としての自負が打ち砕かれた

                                              仕事でベストを尽くせない産後の私を支えてくれたのは、誰かが記した「弱さ」だった(寄稿・紺) - りっすん by イーアイデム
                                            • 古代中国の性生活は想像以上に激しい? 早大教授が語る、驚きと発見の日常史

                                              始皇帝、項羽と劉邦、武帝ら英雄が活躍した中国の秦漢時代において、人々はどんな私生活を送っていたのかーーどんな家に住み、何を生業として、如何にして異性との関係を築き、どのように日々の楽しみを求めていたのか? もしも現代人が古代中国にタイムスリップをして、24時間を過ごしたらどうなるかを検証した新書『古代中国の24時間』がヒット中だ。画期的な切り口で古代中国の日常を鮮やかに描き出したのは、早稲田大学文学学術院教授の柿沼陽平氏。同書を著した理由や、古代中国の恋愛事情などについて話を聞いた。(編集部) あまりにも平凡な出来事は記録に残りにくい 柿沼陽平教授 ーー『古代中国の24時間』は、まるでロールプレイングゲームや異世界転生のライトノベルのように、二千年前の中国の1日を追体験するようなユニークな「日常史」の新書です。この新鮮なアイデアはどのように生まれたのですか? 柿沼:もともと僕は実家が客商売

                                                古代中国の性生活は想像以上に激しい? 早大教授が語る、驚きと発見の日常史
                                              • 『犬は勘定に入れません 上―あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』(早川書房) - 著者:コニー・ウィリス 翻訳:大森 望 - 豊崎 由美による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

                                                人類はついに過去への時間旅行を実現した。その技術を利用し、オックスフォード大学は、第二次大戦中、空襲で焼失したコヴェントリー大聖堂復元計画に協力している。史学部の大学院生ネッドは… 人類はついに過去への時間旅行を実現した。その技術を利用し、オックスフォード大学は、第二次大戦中、空襲で焼失したコヴェントリー大聖堂復元計画に協力している。史学部の大学院生ネッドは、大聖堂にあったはずの"主教の鳥株"を探せと計画の責任者レイディ・シュラプネルに命じられた。だが、21世紀と20世紀を何度も往復して疲労困憊、とうとう過労で倒れてしまった!?SFと本格ミステリを絶妙に融合させた話題作。ヒューゴー賞・ローカス賞受賞。 コニー・ウィリスって作家をご存じ? 知らなかったら、かなりのおバカさん。無知蒙昧な文盲さん。SF作家ですの。しかも、凄く位が高いお方ですの。でも、特定ジャンルの中に閉じ込めておくにはあまりに

                                                  『犬は勘定に入れません 上―あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』(早川書房) - 著者:コニー・ウィリス 翻訳:大森 望 - 豊崎 由美による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
                                                • いとうせいこうと吉田豪 景山民夫を語る

                                                  いとうせいこうさんが2020年7月7日放送のSHOWROOM『豪の部屋』に出演。吉田豪さんと景山民夫さんについて話していました。 (吉田豪)(コメントを読む)「景山民夫さんについての思い出」。 (いとうせいこう)ああ、景山さんは本当に僕、お世話になりまして。放送作家……今はね、高田文夫さんがね、ずっとたけしさんと一緒にやってきたけど。 (吉田豪)『文夫くんと民夫くん』でね。 (いとうせいこう)そうです。2人がすごく前に出た放送作家として、その上にいた大御所たちに対する若手として出てきて。ものすごくやっぱり面白かったし。それこそ僕と藤原ヒロシを自分のラジオのコーナーに出したんですよ。そのレギュラーコーナーの中で僕は「どうすれば放送禁止用語を放送局のその規定に触れることなく言ってのけるか?」っていうことをテーマにした……まあ「行き違いがある(いキチガイがある)」みたいな話ですね。 (吉田豪)な

                                                    いとうせいこうと吉田豪 景山民夫を語る
                                                  • 中国発の本格SF「三体」劉慈欣さんインタビュー 科学の力、人類の英知を信じて執筆|好書好日

                                                    文・写真:延与光貞(朝日新聞中国総局) 劉慈欣(りゅう・じきん)作家 1963年、中国・山西省生まれ。発電所でエンジニアとして働くかたわら、SF短篇を書き始め、雑誌〈科幻世界〉に『三体』を連載。2008年に単行本として刊行。「三体」「黒暗森林」「死神永生」の三部作は2100万部を超す売り上げを記録している。2015年、英訳版がアジア人作家して初めて、SF界最大の賞・ヒューゴー賞を受けた。 文化大革命(1966~76年)で父を亡くしたエリート女性科学者は、失意の日々を送るなか、謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこで行われていたのは、人類の未来を左右しかねない極秘プロジェクトだった。彼女が宇宙に向けて発信した電波は、惑星「三体」の異星人に届き、数十年後、科学的にありえない怪現象が人類を襲う。壮大な「三体」三部作の第1弾。 SFは異文化間で共鳴しやすい 小説のアイデアは、物理学の難問「三体問題

                                                      中国発の本格SF「三体」劉慈欣さんインタビュー 科学の力、人類の英知を信じて執筆|好書好日
                                                    • ミステリ好きなら読破しておきたい古典を読んでおきたい古典100冊を読むべきではない100の理由

                                                      https://anond.hatelabo.jp/20210215101500 エドガー・エラン・ポオ「モルグ街の殺人」 ・しょうもない犯人、しょうもない気付き、しょうもないミステリの元祖。 ウィルキー・コリンズ「月長石」 ・長さのわりにミステリを期待して読むと徒労に終わる。ドラマ観れば十分。 コナン・ドイル「シャーロック・ホームズの冒険」 ・長編よりいくらかマシという程度。 モーリス・ルブラン「怪盗紳士ルパン」 ・南洋一郎訳のほうがおもしろい。 ロナルド・A・ノックス「陸橋殺人事件」 ・いわゆる「ノックスの十戒」を定めた著者だが、作品は凡庸。 フョードル・ドストエフスキー「罪と罰」 ・ミステリか? 別にいいんだけど。主人公の臭い自意識に長時間堪えられるのなら。手塚治虫の漫画版で十分。 コンラッド「闇の奥」 ・「闇の奥」そのものより、「闇の奥」をもとにした無数のコンテンツのほうがおもしろ

                                                        ミステリ好きなら読破しておきたい古典を読んでおきたい古典100冊を読むべきではない100の理由
                                                      • 【検証】AIが考えたカクテルを再現するとどうなる?【vs酒のエキスパート】 | オモコロ

                                                        こんにちは、JUNERAYです。 まずはこちらをご覧ください。 オモコロを運営している株式会社バーグハンバーグバーグ・副社長の永田智です。 この人 これは別に筆者が狂ってしまったわけではなく、以前「オモコロスーパーディナーショー〜オンラインの宴〜」というイベントで出した、永田さんのイメージカクテル。 永田さんが大好きな『マジック:ザ・ギャザリング』の有名カード「ブラック・ロータス」をモチーフに、 同じく趣味であるという麻雀の牌型の砂糖菓子を作って飾りました。 酒重課金オタクである筆者は、以前から「キャラクターや作品のイメージカクテル」を考えるのが好きで、 こちらの「永田さんイメージカクテル」も楽しく作った記憶があります。 ……が、最近こんなことを思いました。 カクテルレシピもAIに考えてもらえばいいんじゃね? だってさ〜〜〜〜 誰かが作ったイメージカクテルをいっぺえ見てえ イラストや小説に

                                                          【検証】AIが考えたカクテルを再現するとどうなる?【vs酒のエキスパート】 | オモコロ
                                                        • 「三体」柳下毅一郎さん書評 壮大で呆れるほど単純、これぞSFの原初のパワー|好書好日

                                                          SFは若い文学である。 「SFの黄金期は十二歳である」という言葉は、その幼稚さを示すものだと理解されることが多い。だが、それは同時にSFの魅力を伝える言葉でもある。SFは未来の文学だ。そして未来への無限の想像力を持てるのは若者だけである。日本SFの黄金時代が、日本の高度成長期と重なりあっていたのも偶然ではあるまい。 だから今、中国SFこそが世界でいちばん勢いある存在なのである。 劉慈欣の『三体』の登場は衝撃的だった。それは日本だけのことではない。アメリカでは二〇一五年、アジア人作家として、そもそも翻訳小説としてはじめて、アメリカSF界の最高賞とも言えるヒューゴー賞の長編部門を獲得している。バラク・オバマ前大統領からフェイスブックのザッカーバーグCEOまで、誰もが絶賛した面白さはどこにあるのだろう? ひとつには、シンプルで誰にでもわかるアイデアの力強さである。『三体』の主人公ナノテク研究者の

                                                            「三体」柳下毅一郎さん書評 壮大で呆れるほど単純、これぞSFの原初のパワー|好書好日
                                                          • 探偵小説家の小栗虫太郎 作家像の見直しも 家庭小説を確認 | NHKニュース

                                                            昭和初期に活躍した探偵小説家で「黒死館殺人事件」などの作品で知られる小栗虫太郎が、昭和16年にほかの作品とは作風が全く異なる家庭小説を発表していたことが確認されました。 検閲が強まる中、探偵小説の代わりに創作したと考えられ、調査に当たった専門家は「これまでの作家像の見直しが迫られる発見だ」と指摘しています。 小栗虫太郎は、横溝正史などとともに昭和初期に活躍した探偵小説家で、名探偵 法水麟太郎が登場する「後光殺人事件」や「黒死館殺人事件」などの作品で知られています。 二松学舎大学の山口直孝教授が作品の調査を進めたところ、「亜細亜の旗」というタイトルの新聞連載が新たに見つかり、著作目録に記録がない長編小説と確認されました。 山口教授によりますと、この作品は太平洋戦争が始まる昭和16年から翌年にかけて、九州などの地方新聞に連載され、主人公の青年医師をめぐる恋愛や人間関係が描かれています。 これま

                                                              探偵小説家の小栗虫太郎 作家像の見直しも 家庭小説を確認 | NHKニュース
                                                            • 物語のパターンは既に出尽くしてる問題に絡めてだけど、近代に流行した鬱屈とした自意識や虚無感、20世紀後半にいい薬がたくさん発明されたおかげで「心療内科にいってお薬を飲めばいいのに」で解決してしまって、物語としての強度を保てなくなってる件について - orangestarの雑記

                                                              物語のパターンは既に出尽くしてる問題に絡めてだけど、近代に流行した鬱屈とした自意識や虚無感、20世紀後半にいい薬がたくさん発明されたおかげで「心療内科にいってお薬を飲めばいいのに」で解決してしまって、物語としての強度を保てなくなってる。— 小島アジコ (@ajico_k) 2024年6月25日 近代に流行した鬱屈とした自意識や虚無感は、向精神薬でどこまで「治る」でしょうか。向精神薬は、作用します。その作用には統計的な有意差もあるでしょうし、特定の精神疾患の改善に寄与もするでしょう。でも例えば、その向精神薬で個人のアイデンティティの問題にけりがつくものでしょうかね?— p_shirokuma(熊代亨) (@twit_shirokuma) 2024年6月26日 近代に流行した鬱屈とした自意識や虚無感は、向精神薬でどこまで「治る」でしょうか。向精神薬は、作用します。その作用には統計的な有意差もあ

                                                                物語のパターンは既に出尽くしてる問題に絡めてだけど、近代に流行した鬱屈とした自意識や虚無感、20世紀後半にいい薬がたくさん発明されたおかげで「心療内科にいってお薬を飲めばいいのに」で解決してしまって、物語としての強度を保てなくなってる件について - orangestarの雑記
                                                              • 東京創元社編集部・編『創元SF文庫総解説』第1回(全6回)l

                                                                2022年09月29日17:00 by 東京創元社 東京創元社編集部・編『創元SF文庫総解説』第1回(全6回) カテゴリSFファンタジイ・ホラー 【はじめに】 創元SF文庫は来年2023年、創刊60周年を迎えます。 1963年9月に創元推理文庫SF部門として誕生し、フレドリック・ブラウン『未来世界から来た男』に始まり、1991年に現行の名称への改称を挟んで、これまでに700冊を超える作品を世に送り出してまいりました。エドガー・ライス・バローズの《火星シリーズ》やE・E・スミスの《レンズマン》シリーズをはじめ、ジョン・ウィンダム、エドモンド・ハミルトン、アイザック・アシモフ、ロバート・A・ハインライン、レイ・ブラッドベリ、J・G・バラード、アン・マキャフリー、バリントン・J・ベイリー、ジェイムズ・P・ホーガン、ロイス・マクマスター・ビジョルド、そして近年にはアン・レッキーやN・K・ジェミシン

                                                                  東京創元社編集部・編『創元SF文庫総解説』第1回(全6回)l
                                                                • ライトノベルの始まりの頃。1970年代起源説は間違い

                                                                  ライトノベル、つまり若者向けのエンタメ小説は、コバルト文庫やソノラマ文庫が登場した1970年代に生まれたと言われてるんですが、コバルト文庫にはコバルト・ブックス、ソノラマ文庫にはサンヤングシリーズとそれぞれの前身に当たるレーベルが1960年代に登場しているんですよ。普通に考えれば、ライトノベルの起源は1960年代まで遡れる。 誰ですか? 1970年代がライトノベルの始まりと間違ったことを言い出した人は?? もちろん、1960年代に登場した若者向けの小説はあくまで源流であって、段階を経てライトノベルらしくなっていきます。 1966年 若者向け小説の登場 ← 『小説ジュニア』創刊 1969年 アニメ・漫画の影響が強くなる ← サンヤングシリーズ創刊 1976年 文庫レーベル化 ← コバルト文庫&ソノラマ文庫創刊 1977年 新時代の作家の登場 ← 氷室冴子&高千穂遙デビュー 1986年 ゲーム

                                                                    ライトノベルの始まりの頃。1970年代起源説は間違い
                                                                  • 『コナンドイル「小遣い稼ぎにキモオタ向けのラノベでも書くか」』の嘘と真実|ラビットホール

                                                                    2015年のVIPのスレ『コナンドイル「小遣い稼ぎにキモオタ向けのラノベでも書くか」』は名スレです。 ですが、名スレであるあまり、スレそのものがひとり歩きをしています。 グーグルの検索フォームに「コナン・ドイル」と入力すると、「コナン・ドイル なんj」とサジェストされるほどです。 しかも、このスレは創作ですが、事実にもとづいて創作しています。 そのため、このスレの内容を史実だと思っているひとが多く見受けられます。ですが、史実としては誤りのほうが多いです。 ただ、このスレが名スレなのも確かです。なので、ただWikipediaでコナン・ドイルの史実を読むよりは、このスレの誤りを正したほうが頭に入るかもしれません。 以下、『コナンドイル「小遣い稼ぎにキモオタ向けのラノベでも書くか」』の真偽を検証します。 資料には主としてジョン・ディクスン・カー著、大久保康夫訳『コナン・ドイル』を使用します。 本

                                                                      『コナンドイル「小遣い稼ぎにキモオタ向けのラノベでも書くか」』の嘘と真実|ラビットホール
                                                                    • 読むべき最高のテキストは東大入試現代文にある

                                                                      いま読むべき本、考えるべきテーマは、東大入試の現代文に集まっている。 日本最高の学府は、未来の知を背負う人として、どういった人を求めているか?  何をテーマとし、どんな本を俎上に載せ、どこに着目し、どんな問いを投げ、いかなる解答を期待しているか? そこに、「入試問題」という形をとった、東京大学からのメッセージを見ることができる。 これが数学や英語の問題だと、ちょっと手が出ないかもしれない。 だが、これが現代文なら、とっつきやすい。 東大のメンツにかけて「いま考えるべきテーマ/読む価値のある本はコレだ!」として選び抜き、しかも、「良いところはこの部位」と切り出してくれる。つまり、どんな知が求められているか? への東大の応答が、入試現代文そのものなのだ。 『東大のヤバい現代文』は、そうした脂の乗った良問を、関連書籍とともに美味しく料理してくれる。ナニ、東大と臆するなかれ、丁寧な解説で、何が重要

                                                                        読むべき最高のテキストは東大入試現代文にある
                                                                      • 「裏世界ピクニック」宮澤伊織さんインタビュー 虚と実、ホラーとSFのはざまで展開する冒険|好書好日

                                                                        宮澤伊織(みやざわ・いおり)作家 秋田県生まれ。2011年『僕の魔剣が、うるさい件について』でデビュー。15年には「神々の歩法」で第6回創元SF短編賞を受賞。著書に『不本意ながらも魔法使い』『そいねドリーマー』など。「魚蹴」名義でテーブルトークロールプレイングゲーム(TRPG)のリプレイや世界設定も手がける。 SF・ホラー・冒険の三本柱 ――〈百合SF〉のヒット作として知られる『裏世界ピクニック』は、ホラーファンにも見逃せない作品です。実話怪談(=体験談をもとにした怪談)ネタを盛り込んだこのシリーズは、どのように誕生したのでしょうか。 もともとはストルガツキー兄弟の『ストーカー』のような冒険SFをやりたい、というのが出発点だったんです。たとえば町中の廃墟のドアをくぐると不思議な世界が広がっていて、そこを冒険して帰ってくるというような話ですね。その設定を詰めているうちに、徐々に実話怪談の要素

                                                                          「裏世界ピクニック」宮澤伊織さんインタビュー 虚と実、ホラーとSFのはざまで展開する冒険|好書好日
                                                                        • みんなの『大好きな鬱小説』をランキングにしてみた【1~20位まで】 - 俺だってヒーローになりてえよ

                                                                          どうも、読書中毒ブロガーのひろたつです。 この記事を書いてるのは、春一番の吹き始めた、とっても穏やかな陽気の3月。そんな爽やかな季節にピッタリの企画を今回はご用意した。 題して… みんなの『#大好きな鬱小説』をランキグにしてみた!! である。 最高。 ※『#大好きな鬱小説』とは… Twitterでトレンドにも入るほど、どうしようもない変態たちを大量に吸い寄せてしまった罪なタグ。 小説の中でも「読まなきゃよかった…」と思いつつも、なぜか目を離せない蠱惑的な魅力を持った作品のこと。 精神的な苦痛を楽しむ変態のための嗜好品、または必需品。人生の限られた時間をわざわざ不快なものに費やしたいという、終わっている人のための嗜好品、または必需品。 この世界でも有数のどうしようもないタグが付いた5000ツイートを、手作業で集計して、無理やりランキングに仕立て上げたのがこちらの記事である。 本当に我ながら脳

                                                                            みんなの『大好きな鬱小説』をランキングにしてみた【1~20位まで】 - 俺だってヒーローになりてえよ
                                                                          • 日本ミステリ略史

                                                                            日本ミステリ史をまとめようとしている人を見たので自分でもやってみようと思った。 箇条書きでも大体分かるだろう。あと本格中心なのは許してくれ。 ◆探偵小説輸入の開始 http://fuboku.o.oo7.jp/e_text/nipponbungakukouza_19270530.html ・神田孝平訳「楊牙児奇獄」1877 ・黒岩涙香翻案『法庭の美人』1888 ・須藤南翠『殺人犯』1888(『無惨』に先立つ創作) "まづ未成品で、単に先駆的なものとしか見られない"(柳田泉) ◆黒岩涙香『無惨』1889 "日本探偵小説の嚆矢とは此無惨を云うなり" ・"日本最初の創作探偵小説" (乱歩) ・「探偵叢話」連載開始(都新聞) 1893 ……探偵実話の流行 ・ドイル「唇の曲がった男」翻訳 1894 ・映画「ジゴマ」公開 1911 ・谷崎潤一郎「秘密」1911「白昼鬼語」1918 「途上」1920 日

                                                                              日本ミステリ略史
                                                                            • 350万部の児童書『銭天堂』シリーズ ヒットを呼んだ2つのカギ

                                                                              累計350万部の大ヒットとなっている児童書シリーズ、『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』。選ばれた者の前にだけ神出鬼没に現れる謎の駄菓子屋「銭天堂」を訪れた客たちが、不思議な力を持つ駄菓子を手にしたことで翻弄されていく様を描いた短編連作だ。シリーズが子供心をがっちりとつかんだ人気の秘密は何なのか。著者の廣嶋玲子氏をはじめ、関係者に話を聞いた。 児童書ジャンルから、累計350万部超えの大ヒットシリーズが誕生している。『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』(偕成社)だ。廣嶋玲子氏による、主に小学校中学年以上の子供を対象とする児童書で、2021年4月に出た最新刊(第15巻)は初版15万部。通常は、初版5000部ほどの児童書にあって桁違いの数字だ。 タイトルになっている「銭天堂」は、選ばれた人の前にだけ姿を現す、神出鬼没の奇妙な駄菓子屋。赤紫の着物を着た妖しげな店主・紅子が、訪れた客の悩みや願いをかなえる、不思議な力を

                                                                                350万部の児童書『銭天堂』シリーズ ヒットを呼んだ2つのカギ
                                                                              • ジョン・ガッテニョ「SF小説」(文庫クセジュ) SFは方法とテーマの文学。人間や社会にペシミスティック出会っても科学への信頼は揺るがない。 - odd_hatchの読書ノート

                                                                                これを読むと、ミステリ(探偵小説)は形式の文学だなあと思う。形式は犯罪→探偵→捜査(解決)で構成される。そこにはしばしばテーマはない。形式を踏まえていれば、何の内容もなくてかまわない。量産されるミステリ(探偵小説)はそういうものだ。また作品はしばしば超歴史的。どこでだれがどのような状態で書いたかというのは、形式を検討するときに問題にされない。なので、19世紀の短編は21世紀の短編と形式において比較可能になる。 一方、サイエンス・フィクション(SF)は方法とテーマの文学だ。方法は科学的思考(ここでは知識と推論で代表される。別のなにかでいえそうだが、自分には見つからない)。その方法でいくつかのテーマを扱う。無理やりに統合すると予測(仮説とか外挿とかでもいいような気がするがぴったりすることばが見つからない)。このふたつがとりあえずそろっていれば、形式なぞなくてもSFは可能になる。とはいえ、19世

                                                                                  ジョン・ガッテニョ「SF小説」(文庫クセジュ) SFは方法とテーマの文学。人間や社会にペシミスティック出会っても科学への信頼は揺るがない。 - odd_hatchの読書ノート
                                                                                • 出版社に一度でも憧れた人は「本の雑誌5月号 出版業会で働こう!特集」を読んで欲しい|読書熊

                                                                                  本の雑誌2022年5月号が面白かった。特集は「出版業界で働こう!」。出版社で働くことを一度でも夢見たことがある人には間違いなく響く。夢破れていまは別の業界で働く人、今も諦めきれない人。ヒントがたくさん詰まった特集だった。 複数ある企画の頭は「出版社面接担当匿名座談会」。これを読んで、なぜ自分は出版社の就職試験で書類選考落ちばかりだったのかが分かった気がする。開けっぴろげで、痛快な内容。 まず、エントリーシートの漢字ミスがある人はばっさり落とすらしい。「とにかく見直しをしない人間はいらん」(12ページ)らしい。でも編集作業は見直しの連続だろうし、たしかに出版業界人の基礎的素養なのかも。 それと驚いたのは「完全なオタクな人は絶対採らない。じゃあ君は好きでいいじゃん、読んでれば?」(16ページ)という意見。「版元による」という反対意見もあるけれど、出版社は「消費者」ではなく「生産者」の集まりであ

                                                                                    出版社に一度でも憧れた人は「本の雑誌5月号 出版業会で働こう!特集」を読んで欲しい|読書熊