寄稿 日比 紀文,喜田 宏,國井 修,島袋 香子,カール・ベッカー,中村 美鈴,村垣 善浩,阿部 彩,菅野 武,紅谷 浩之,中垣 恒太郎,榎木 英介 2021.01.04 週刊医学界新聞(通常号):第3402号より 基礎と臨床をつなぎ炎症性腸疾患の克服をめざす 日比 紀文 北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センターセンター長 消化器病学は,腫瘍,炎症および機能性疾患の3分野に大別される。そのうち腫瘍分野においては,内視鏡など医療機器の発達も相まってその診断および治療への日本の医師の貢献は素晴らしいと感じている。しかし私は炎症分野での活動を通して,臨床医学における国際性さらには指導力という面ではまだまだ自分たちの力不足を痛感している。 潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患は,日本では稀少疾患と考えられていたものの患者数は増加の一途をたどっている。原因はいまだ解明されていないが